がん情報サイト「オンコロ」

複数治療歴のある再発/難治性原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫に対するキイトルーダ単剤療法、客観的奏効率41.5%を示す

この記事の3つのポイント
・複数治療歴のある再発/難治性原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫患者が対象の第2相試験
キイトルーダ単剤療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は41.5%、完全奏効は20.8%を示した。また、80.6%の患者が48ヶ月以上の奏効を示した

2021年12月11日~13日に開催された、第63回米国血液学会(ASH2021)にて2レジメン以上の治療歴のある移植非対応再発/難治性原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のKEYNOTE-170試験(NCT02576990)の4年長期フォローアップの結果がDiagnostica e Sperimentale Università di BolognaのPier Luigi Zinzani氏らにより公表された。

KEYNOTE-170試験とは、2レジメン以上の治療歴のある移植非対応再発/難治性原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)患者(N=53人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を最大35サイクル投与し、評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間PFS)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間OS)などを検証した第2相試験である。

本試験が開始された背景として、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は古典的ホジキンリンパ腫(cHL)同様にPD-L1発現率が高率である。KEYNOTE-170試験の前回解析結果では、良好で持続的な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ないことが確認されている。以上の背景より、KEYNOTE-170試験の4年長期フォローアップの結果が公表された。

本試験のフォローアップ期間中央値48.7ヵ月時点の53人の患者における結果は下記の通りである。53人のうち、13人の患者は最大2年間の治療完遂、40人は治療を中止した。そのうち18人における治療中止の主な理由は病勢進行(PD)であった。

客観的奏効率(ORR)は41.5%(95%信頼区間:30.0-53.7%)で、奏効の内訳は完全奏効(CR)20.8%、部分奏効(PR)20.8%であった。奏効持続期間(DOR)中央値は未到達(NR)であり、80.6%の患者が48ヶ月以上の奏効を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値は4.3ヵ月(95%信頼区間:2.8-13.8ヵ月)、48ヵ月無増悪生存率(PFS)は33.0%であった。また、全生存期間(OS)中央値は22.3ヵ月(95%信頼区間:7.3ヵ月-NR)、48ヵ月全生存率(OS)は45.3%を示した。

一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は56.6%(N=30人)、5%以上の患者で発生した治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症が18.9%、無力症が9.4%、甲状腺機能低下症が7.5%、倦怠感が5.7%、発熱が5.7%であった。グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は22.6%で、最も多くの患者で発生したグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症の7人であった。なお、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)は発生していない。

以上のKEYNOTE-170試験の4年長期フォローアップの結果よりPier Luigi Zinzani氏らは「複数治療歴のある再発/難治性原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、長期的にも持続的な抗腫瘍効果を示し、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)も改善傾向を示しました」と結論を述べている。

Final Analysis of Keynote-170: Pembrolizumab in Relapsed or Refractory Primary Mediastinal Large B-Cell Lymphoma (PMBCL)(ASH2021 Annual Meeting&Exposition Abstract#306)

×
モバイルバージョンを終了