2月25日、MSD株式会社は抗PD-1抗体であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)について、「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行/再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応症として厚生労働省より国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表した。
キイトルーダは、主にT細胞に発現している受容体PD-1とそのリガンドのPD-L1/2を相互に阻害する機序を持つ抗体薬。同剤はPD-1に結合し、抗腫瘍活性の抑制を解除する。
がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいた承認の取得は、「がん化学療法後に増悪した進行/再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」に次ぎ、同剤として2つ目となる。
今回の承認は、化学療法歴のある進行/再発の固形がん患者を対象に、キイトルーダの有効性と安全性を評価した多施設共同非ランダム化非盲検試験であるKEYNOTE-158試験の結果に基一方安全性として、副作用は63.8%(N=67/105人)の患者でが認められた。
なお、今回の承認に先立ち、2021年11月にはTMBを測定する遺伝子変異解析プログラムとしてFoundationOne CDxがんゲノムプロファイル(中外製薬)が承認されている。
腫瘍遺伝子変異量(Tumor Mutation Burden:TMB)とは
腫瘍遺伝子変異量とは、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量のことを指し、ゲノムコーディング領域百万塩基あたりの体細胞遺伝子変異数(mut/Mb)として示される。TMB-Highの腫瘍では、ネオアンチゲンがより多く誘導され、免疫チェックポイント阻害剤に対して良好に反応する可能性があると報告されている。なお、今回の適応におけるTMB-Highは10mut/Mb以上である状態と定義している。
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