12月6日、米ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、治療歴を有する小細胞肺がん(SCLC)患者を対象に、ニボルマブ(オプジーボ)単剤療法およびオプジーボとイピリムマブ(ヤーボイ)の併用療法を評価した第1/2相臨床試験(CheckMate-032,)の最新結果を発表した。
オプジーボとヤーボイはともに免疫チェックポイント阻害薬である。オプジーボPD-1抗体、ヤーボイはCTLA-4抗体であり、併用療法としては悪性黒色腫対象に適応されている。オプジーボは非小細胞肺がんに対して適応を取得しているが、今回発表は小細胞肺がんに対する試験結果である。
これらの結果は、12月6日にオーストリアのウィーンで開催中の国際肺癌学会、第17回世界肺癌学会議(WCLC2016)において発表された。
目次
オプジーボ単剤、オプジーボとヤーボイの併用療法にて、小細胞肺がんに対する有効性と安全性を確認する試験
CheckMate -032 試験は、進行期または転移性固形がんを対象に、オプジーボ単剤療法またはオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性と有効性を異なる用量および投与スケジュールで評価した進行中の第1/2相非盲検臨床試験である。本試験では、PD-L1 発現および非発現患者の両方を組み入れた。
主要評価項目は、RECIST 1.1 基準に基づく治験担当医師の判定による確定奏効率(ORR)。副次的評価項目には、安全性、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効期間(DOR)が含まれた。
今回の発表は、CheckMate -032 試験の小細胞肺がん(SCLC)対象者に対する結果である。プラチナ製剤による化学療法のファーストライン治療を含め、1 種類以上の治療歴を有する進行性の患者217例が組み入れられた。
参加した患者は、「オプジーボ3 mg/kg を2週間ごと(オプジーボ群):98名」に、または「オプジーボ1 mg/kg +ヤーボイ3 mg/kg を3週間ごとに4サイクル静脈内投与され、その後オプジーボ3 mg/kg が2週間ごと(オプジーボ+ヤーボイ群):61名」に投与され、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続した。追跡調査は、オプジーボ単剤群で中央値21 カ月、オプジーボ群で15.7 カ月にわたって追跡調査された。PD-L1発現量を確認できた患者のうち17%において、PD-L1 発現レベルが1%以上だった。
オプジーボ+ヤーボイ群にて奏効率25%、完全奏効61人中3人
オプジーボ群の奏効率は11%、オプジーボ+ヤーボイ群の奏効率は25%だった。奏効は、プラチナ製剤感受性および治療歴にかかわらず認めらた。オプジーボ+ヤーボイ群では、3例の完全奏効が認められた。推定2年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で30%、オプジーボ単剤療法群では17%だった。
単剤療法群および併用療法群において、患者の10%以上で最も一般的に報告されたグレード3~4の治療に関連する有害事象(AE)は、それぞれ疲労(1% vs 0%)、そう痒症(0% vs 2%)、下痢(0% vs 5%)、悪心(0% vs 2%)、発疹(0% vs 5%)、甲状腺機能低下症(0% vs 2%)、斑状丘疹状皮疹(0% vs 3%)およびリパーゼ上昇(0% vs 8%)だった。
オプジーボ単剤療法群の4%、併用療法群の10%が、グレード3~4 の治療に関連する有害事象によって投与を中止しした。治療に関連する新たな死亡は認められた。併用療法の投与を受けた患者2 例で、治療に関連する死亡(重症筋無力症および腎不全悪化)が発生した。グレード3~4 の治療に関連する辺縁系脳炎が、単剤療法群で1 例発生した。治療に関連する肺臓炎が、単剤療法群で4例(グレード3~4 が2 件)および併用療法群で1 例(グレード3~4 が1件)、発生した。
治験担当医師であるメモリアルスローンケタリングがんセンターのMatthew D. Hellmann(M.D.)は、次のように述べた。
「小細胞肺がんは、極めて悪性度が高く進行の早いがんで、大半の患者さんが診断から1年以内に再発します。過去30年間、全身療法の治療選択肢にはほとんど進展がありませんでした。CheckMate -032試験では、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を受けた小細胞肺がん患者さんの4分の1で奏効が認められました。また、併用療法開始後の2年生存率が30%になるなど生存に関する有望なデータも得られました。これらのデータは、小細胞肺がんの一部の患者さんの治療選択肢候補として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価する試験に対し、新しい重要な情報をもたらしてくれます。」
*プレスリリース原文のまま
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記事:可知 健太