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オプジーボ投与歴1年間の進行非小細胞肺がん患者に対するオプジーボの適正投与期間

2017年9月8日から12日までスペイン・マドリードで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対してニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法の投与期間による有効性の違いを検証した第3相のCheckMate153試験(NCT02066636)の結果がSarah Cannon Research Institute/Tennessee OncologyのDavid Spigel氏より発表された。

【この記事を読むにあたり】この研究の主要評価項目は毒性関連であるため、有効性については更なる研究や議論が必要であることに注意してください

本試験は、既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=1245人)に対してオプジーボ単剤療法を1年間投与した後、さらに1年間オプジーボ単剤療法を継続するcontinuous nivolumab群、オプジーボ単剤療法による治療を中止するstop nivolumab群に無作為に割り付け主要評価項目であるGrade3以上の治療関連有害事象を検証した第3相の無作為化比較試験の結果である。

本発表時点のデータカットオフは2017年5月15日、追跡期間は最短10.0ヵ月、最長14.9ヵ月、本試験に登録された患者1245例の内220例が無作為割り付けされ、有効性評価の対象とされたのは病勢コントロール(完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定SD))が維持されていた163例(continuous nivolumab群76例、stop nivolumab群87例)であった。

その結果は主要評価項目である治療関連有害事象はcontinuous nivolumab群39%に対してstop nivolumab群25%と、オプジーボ単剤療法による治療を継続する群の方がわずかながら多かった。また、Grade3以上の治療関連有害事象はcontinuous nivolumab群8%、stop nivolumab群4%であった。

以上の安全性に関する結果に対して、David Spigel氏はこのような見解を出している。”オプジーボ単剤療法による継続治療の1年後、新たに発生するイベントはほぼなかった。また、両群共に治療関連死は見られなかった。”

その他の結果として無作為割り付け後1年の無増悪生存期率(PFS)が発表され、continuous nivolumab群65%に対してstop nivolumab群40%と病勢進行または死亡のリスクが58%(ハザード比0.42、95%信頼区間:0.25~0.71)減少する可能性が示唆された。また、全生存期間OS中央値についても発表され、continuous nivolumab群は未到達であるのに対してstop nivolumab群は23.2ヵ月と、統計学的有意は見られなかったがcontinuous nivolumab群で優れる傾向にあった(ハザード比0.63、95%信頼区間:0.33~1.20)。

以上の有効性に関する結果に対して、David Spigel氏はこのような見解を出している。”オプジーボをはじめ抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療期間は未だに明らかにされていない重要な臨床的課題である。CheckMate-153試験はその臨床的課題を明らかにする初のランダム化試験であり、この結果は非常に重要である。”

本試験結果より、既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対してオプジーボ単剤療法を1年間投与した後、さらに1年間オプジーボ単剤療法を継続投与する方がオプジーボ単剤療法による治療を中止するよりも安全性に大きな違いがないことが示唆され、有効性については可能性が見いだされたものの探索的な評価であるため結論には至っていない。

Randomized results of fixed-duration (1-yr) vs continuous nivolumab in patients (pts) with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC)(ESMO2017.Abstract No.1297O)

Nivolumab Past One Year Improves Progression-Free Survival in Pretreated NSCLC(ONCLIVE.Sep 09, 2017)

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