2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、複数の化学療法による治療歴のあるKRAS遺伝子野生型進行性大腸がん患者に対してレゴラフェニブ(商品名スチバーガ;以下スチバーガ)、セツキシマブ(商品名アービタックス;以下アービタックス)±イリノテカンの順で投与する群(R-C群)、アービタックス±イリノテカン、スチバーガの順で投与する群(C-R群)の有効性を検証した第II相のREVERCE試験(UMIN000011294)の結果が国立がん研究センター東病院・設楽紘平氏らにより公表された。
REVERCE試験試験とは、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンベースの化学療法の治療歴のあるKRAS遺伝子野生型進行性大腸がん患者(N=101人)に対してスチバーガ、アービタックスの順で投与するR-C群(N=51人)、アービタックス±イリノテカン、スチバーガの順で投与するC-R群(N=50人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価として1番目の治療における無増悪生存期間(PFS)、2番目の治療における無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第II相の試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値29.0ヶ月、81件の死亡が発生した時点における結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はR-C群17.4ヶ月に対してC-R群11.6ヶ月、R-C群で死亡のリスクが39%(ハザード比:0.61,95%信頼区間:0.39–0.96,P=0.0293)減少することが示された。
また、副次評価項目である1番目の治療における無増悪生存期間(PFS)中央値はR-C群2.4ヶ月に対してC-R群4.2ヶ月(ハザード比:0.97,95%信頼区間:0.62-1.54,P=0.91)、両群間に有意な差は確認されなかった。しかし、2番目の治療における無増悪生存期期間(PFS)はR-C群5.2ヶ月に対してC-R群1.8ヶ月、R-C群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクが71%(ハザード比:0.29,95%信頼区間:0.17-0.50,P<0.0001)統計学的有意に減少することを示した。
一方の安全性としては、両剤の既存の安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
以上のREVERCE試験の結果より、設楽紘平氏らは以下のように結論を述べている。”本試験は進行性大腸がん患者さんに対するR-C群、C-R群の治療順番による有効性を検証した初めての無作為化試験です。C-R群に対するR-C群における2番目の治療における無増悪生存期期間(PFS)の顕著な改善は全生存期間(OS)の改善に寄与した可能性があります。”