・タグリッソ抵抗性のある肺がん患者の耐性メカニズムを検証した試験の結果
・治療抵抗性を示した腫瘍細胞を次世代シーケンサーで検証する手法がとられた
・T790M遺伝子変異を喪失によってタグリッソ抵抗性を示すことがわかった
2018年8月2日、医学誌『JAMA Oncology』にて第3世代不可逆的上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるオシメルチニブ(商品名タグリッソ;以下タグリッソ)抵抗性のあるEGFR-T790M変異陽性非小細胞肺がん患者における耐性メカニズムを検証した試験の結果がDana-Farber Cancer Institute・Geoffrey R. Oxnard氏らにより公表された。
本試験は、多施設共同試験、AURA試験(NCT01802632)にそれぞれ登録されたタグリッソ抵抗性のあるEGFR-T790M変異陽性非小細胞肺がん患者(N=143人)を対象に、タグリッソによる治療に抵抗性を示した後の腫瘍細胞を次世代シーケンサーを用いて耐性メカニズムを検証した試験の結果である。
本試験の結果、タグリッソによる治療に抵抗性を示した後も13人(32%)の患者がEGFR-T790M変異陽性を継続して示し、28人(68%)の患者がEGFR-T790M変異を喪失し、9人(22%)の患者がEGFR-C797S変異陽性を示した。
そして、タグリッソによる治療開始から中止までの期間(TTD)中央値は全患者郡8.0ヶ月、EGFR-T790M変異陰性患者郡5.5ヶ月、EGFR-T790M変異陽性EGFR-C797S変異陽性患者郡12.4ヶ月、EGFR-T790M変異陽性EGFR-C797S変異陰性患者郡12.6ヶ月を示した。
以上の試験の結果よりGeoffrey R. Oxnard氏らは以下のように結論を述べている。”EGFR-T790M変異喪失により、EGFR-T790M変異陽性非小細胞肺がん患者はタグリッソによる治療に抵抗性を示すことが本試験の結果より証明されました。タグリッソによる治療を受けているEGFR-T790M変異陽性非小細胞肺がん患者さんに対し、今後臨床でも耐性メカニズムを考慮して治療戦略を立てる必要があるでしょう。”