8月17日、米ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、ニボルマブ(商品名オプジーボ)が、プラチナ製剤による化学療法および1種類以上の前治療後に病勢進行した転移性小細胞肺がん(SCLC)患者に対する初めてかつ唯一のがん免疫療法薬の治療選択肢として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表した。
今回の承認は、プラチナ製剤による化学療法後に病勢進行した患者を対象にオプジーボを評価した第1/2相臨床試験Checkmate‐032(NCT01928394)において、奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)に基づき、迅速承認された。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の胸部悪性腫瘍担当開発責任者である Sabine Maier(M.D.)は、次のように述べている。
「ブリストル・マイヤーズ スクイブは、より持続的な奏効をもたらす可能性のあるがん治療法を患者さんに提供する重大な必要性を認識しています。小細胞肺がんのように、治療困難で悪性度の高いがんに対しては特にそうです 。今回の承認は、胸部悪性腫瘍の領域にがん免疫療法薬をもたらしてきた当社の実績に基づいており、有効な新しい治療選択肢を一日も早く必要とする患者さんに対する革新的医薬品をお届けするという、当社のコミットメントを強化するものです」。
今回、2種類以上の前治療後に病勢進行した SCLC 患者に対するオプジーボの申請は、FDA により優先審査の対象として受理された。
承認は、プラチナ製剤による化学療法後に病勢進行した患者を対象にオプジーボを評価した、進行中の第1/2相 CheckMate-032試験の SCLC コホートのデータに基づいている。
プラチナ製剤による化学療法および 1 種類以上の前治療後に、オプジーボの投与を受けた患者 109 例のうち、PD-L1 発現状態にかかわらず、盲検化された独立中央評価委員会(BICR)の評価において、12%(109例中13例)で、奏効が認められた。患者 12 例(11%)が部分奏効、1例(0.9%)が完全奏効であった。奏効が認められた患者において、奏効機関の中央値は17.9 カ月(範囲:3.0 – 42.1カ月)の結果だった。その他、オプジーボの投与は、患者の 17%で6カ月以上、患者の 9%で1年以上継続された。
安全性は、プラチナ製剤による化学療法後に病勢進行した SCLC 患者245例で評価され、副作用により、患者の10%でオプジーボの投与が中止され、25%で1回の投与が中断された。重篤な副作用が、患者の45%で発現した。患者の2%以上で最も頻繁に報告された重篤な副作用は、肺炎、呼吸困難、肺臓炎、胸水および脱水だった。
最も多く(20%以上)報告された副作用は、疲労(45%)、食欲減退(27%)、筋骨格痛(25%)、呼吸困難(22%)、悪心(22%)、下痢(21%)、便秘(20%)および咳嗽(20%)であった
同適応におけるオプジーボの承認用量は、240 mg を 2 週間間隔で点滴静注し、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与する。
ヴァンダービルト大学医療センターの内科准教授、がん研究イングラム准教授、胸部がんプログラムディレクターおよびファカルティ・デベロップメントのアシスタント・バイスチェアマンである Leora Horn (M.D.、M.Sc.)は、次のように述べている。
「がん免疫療法が起こした革新により、特定のがん腫に対する専門医のアプローチは大きく変化しましたが、小細胞肺がんの患者さんにおける進展は限られたものでした。本日のニボルマブの承認は、小細胞肺がん患者さんに対して免疫チェックポイント阻害薬が初めて承認されたものであり、非常に喜ばしいものです。ついに、この深刻な疾患を違った角度から治療することができるようになります。」