・未治療のPD-L1発現率50%以上の進行性非小細胞肺がん患者対象の第3相試験
・1次治療としてのキイトルーダ単剤療法の有効性を比較検証
・24ヶ月全生存率はキイトルーダ群51.5%に対して化学療法群34.5%
2019年1月8日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のPD-L1発現率50%以上の進行性非小細胞肺がん患者に対する1次治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を比較検証した第3相のKEYNOTE-024試験(NCT02142738)の2年長期フォローアップの結果がAirway Research Center NorthのMartin Reck氏らにより公表された。
KEYNOTE-024試験とは、未治療のPD-L1発現率50%以上の進行性非小細胞肺がん患者(N=305人)に対して3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法を最大2年間投与する群(N=154人)、または治験医師判断によるプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を4~6サイクル投与する群(N=151人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同の第3相試験である。なお、治験医師判断による化学療法の治療を受けた患者が病勢進行した場合、2次治療として3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法による治療を受けている(N=82/151人)。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
キイトルーダ群=64.5歳(33-90歳)
化学療法群=66.0歳(38-85歳)
性別
キイトルーダ群=男性59.7%(N=92人)、女性40.3%(N=62人)
化学療法群=男性62.9%(N=95人)、女性37.1%(N=56人)
キイトルーダ群=スコア0が35.1%(N=54人)、スコア1が64.3%(N=99人)、スコア2が0.6%(N=1人)
化学療法群=スコア0が35.1%(N=53人)、スコア1が64.9%(N=98人)、スコア2が0%
人種
キイトルーダ群=アジア人13.6%(N=21人)、非アジア人86.4%(N=125人)
化学療法群=アジア人17.9%(N=27人)、非アジア人82.1%(N=124人)
肺がんの組織型分類
キイトルーダ群=扁平上皮がん18.8%(N=29人)、非扁平上皮がん81.2%(N=125人)
化学療法群=扁平上皮がん17.9%(N=27人)、非扁平上皮がん82.1%(N=124人)
以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値25.2ヶ月、キイトルーダ群で73/154名、治験医師判断による化学療法群で96/151名の死亡が確認された時点における重要な副次評価項目の結果は下記の通りである。
全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群30.0ヶ月(95%信頼区間:18.3ヶ月-未到達)に対して治験医師判断による化学療法群14.2ヶ月(95%信頼区間:9.8-19.0ヶ月)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを37%減少(HR:0.63,95%信頼区間:0.47-0.86)した。なお、化学療法後の2次治療としてのキイトルーダ群の全生存期間(OS)中央値は8.7ヶ月(95%信頼区間:7.3-11.5ヶ月)、1次治療としてのキイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを51%減少(HR:0.49,95%信頼区間:0.34-0.69)した。
そして、12ヶ月全生存率(OS)はキイトルーダ群70.3%(95%信頼区間:62.3%-76.9%)に対して化学療法群54.8%(95%信頼区間:46.4%-62.4%)、24ヶ月全生存率(OS)はキイトルーダ群51.5%(95%信頼区間:43.0%-59.3%)に対して化学療法群34.5%(95%信頼区間:26.7%-42.4%)を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群76.6%に対して化学療法群90.0%、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群31.2%に対して化学療法群53.3%を示した。
また、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)はキイトルーダ群で下痢16.2%、疲労感14.3%に対して化学療法群で吐き気43.3%。最も多くの患者で確認されたグレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)はキイトルーダ群で下痢3.9%、肺炎3.2%に対して疲労感14.3%に対して化学療法群で貧血19.3%、好中球減少症13.3%であった。
以上のKEYNOTE-024試験の2年長期フォローアップの結果よりMartin Reck氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のPD-L1発現率50%以上進行性非小細胞肺がん患者に対するキイトルーダ単剤療法は、化学療法群に比べて全生存期間(OS)を改善しました。そして、化学療法後に2次治療としてキイトルーダ単剤療法を投与した患者に比べても1次治療としてのキイトルーダ単剤療法の全生存期間(OS)改善効果が示されました。”