・強力な治療が適応でない転移性大腸がん患者が対象の第2相TASCO1試験
・ロンサーフ+アバスチンとゼローダ+アバスチンのQOLスコアを評価
・ロンサーフ+アバスチンは、ゼローダ+アバスチン同様に良好なQOL結果を示した
2019年1月17日~1月19日まで米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて強力な治療が適応でない転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのトリフルリジン・チピラシル塩酸塩(商品名ロンサーフ;以下ロンサーフ)+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性を比較検証した第2相のTASCO1試験(NCT02743221)におけるQOL評価の結果がNational Cancer Institute ThailandのVladimir Moiseyenko氏らにより公表された。
TASCO1試験とは、強力な治療が適応でない転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療として4週を1サイクルとして1~5、8~12日目に1日2回ロンサーフ35mg/m²+1、15日目にアバスチン5mg/kg併用療法を投与する群、または3週を1サイクルとして1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg/m2(商品名ゼローダ;以下ゼローダ)+1日目にアバスチン7.5mg/kg併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病悪生存期間(PFS)、副次評価として全生存期間(OS)などを比較検証した非盲検ランダム化の第2相試験である。
なお、本試験の主要評価項目である無病悪生存期間(PFS)の結果は既に報告されている通り、ロンサーフ+アバスチン併用群9.2ヶ月に対してゼローダ+アバスチン群7.8ヶ月、ロンサーフ+アバスチン併用群で病勢進行または死亡のリスク(PFS)が29%の減少(HR:0.71,95%信頼区間:0.48-1.06)を示している。
今回公表されたQOL評価スコアとしては、QLQ-C30、QLQ-CR29が採用されており、それぞれ121人、117人の患者を対象にしている。QLQ-C30評価における結果、ベースライン時点からのQOLスコアの変化は両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。なお、下痢、吐き気/嘔吐症状はロンサーフ+アバスチン群で悪化、倦怠感はゼローダ+アバスチン群で悪化、食欲減退は両群間で悪化、不眠は両群間で改善傾向を示した。
また、QLQ-CR29における結果、ベースライン時点からのQOLスコアの変化は両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。なお、脱毛、味覚異常症状はロンサーフ+アバスチン群で悪化、皮膚障害、口渇はゼローダ+アバスチン群で悪化、不安はゼローダ+アバスチン群で改善傾向を示した。
以上のTASCO1試験におけるQOL評価の結果よりVladimir Moiseyenko氏らは以下のように結論を述べている。”強力な治療が適応でない転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのロンサーフ+アバスチン療法は、ゼローダ+アバスチン療法同様に良好なQOL結果を示しました。