・プラチナ系抗がん剤治療歴のある転移性尿路上皮がん患者が対象の第1/2相試験
・オプジーボ単剤またはオプジーボ+ヤーボイ併用療法の有効性・安全性を検証
・オプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法で最も高い奏効率を示した
2019年5月17日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて前治療歴のある転移性尿路上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)単剤療法、オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のCheckMate 032試験(NCT01928394)の長期フォローアップの結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのPadmanee Sharma氏らにより公表された。
CheckMate 032試験とは、プラチナ系抗がん剤治療歴のある転移性尿路上皮がん患者(N=78人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群、または3週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用療法を4サイクル投与し、その後2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群、または3週を1サイクルとしてオプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法を4サイクル投与し、その後2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群に分け、主要評価項目として主治医判断による客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同オープンラベルの第1/2相試験である。
本試験が実施された背景として、転移性尿路上皮がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬は標準治療であり、第2相のCheckMate 275試験にてオプジーボ単剤療法は客観的奏効率(ORR)20.4%、全生存期間(OS)中央値8.6ヶ月、1年全生存率(OS)40%の有用性を示している。以上の背景より、本試験はオプジーボ単剤療法、併用療法の有用性を検証する目的で実施された。
本試験のフォローアップ期間最小値オプジーボ3mg/kg単剤群で37.7ヶ月、オプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用群で38.8ヶ月、オプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用群で7.9 ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ3mg/kg単剤群25.6%、オプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用群26.9%、オプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用群38.0%を示した。なお、全ての群で奏効持続期間(DOR)中央値22.0ヶ月を示した。
一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ3mg/kg単剤群26.9%、オプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用群30.8%、オプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用群39.1%を示した。なお、グレード5の治療関連有害事象(TRAE)はオプジーボ3mg/kg単剤群、オプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用群でそれぞれ1人の患者で確認され、その治療関連有害事象(TRAE)は肺炎であった。
以上のCheckMate 032試験の長期フォローアップの結果よりPadmanee Sharma氏らは以下のように結論を述べている。”前治療歴のある転移性尿路上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法、ヤーボイ併用療法は持続的な抗腫瘍効果を示しました。特に、オプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法は最も高い奏効率を示し、忍容性も問題ありませんでした。”