・標準治療不応不耐の切除不能進行再発胃がん・大腸がん患者が対象の第1b相試験
・スチバーガ+オプジーボ併用療法の安全性・有効性を検証
・がん種別の客観的奏効率は胃がん44%、大腸がん36%を示した
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2019)にて、標準治療不応不耐の切除不能進行再発胃がん・大腸がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレゴラフェニブ(商品名スチバーガ;以下スチバーガ)+抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)併用療法の安全性、有効性を検証した第1b相のREGONIVO試験(NCT03406871)の結果が国立がん研究センター東病院の福岡聖大氏らにより公表された。
本試験は、標準治療不応不耐の切除不能進行再発胃がんまたは大腸がん患者に対して28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回スチバーガ80~160mg+2週に1回オプジーボ3.0mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として最大耐用量(MTD)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第1b相試験である。
本試験が実施された背景として、制御性T細胞、腫瘍関連マクロファージなどの免疫抑制細胞は抗PD-1阻害薬に対する耐性を誘導する可能性が示唆されている。マルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガは腫瘍関連マクロファージを減少させることが基礎試験にて示されており、抗PD-1阻害薬と併用することで相乗的な抗腫瘍効果を示す可能性がある。以上の背景より本試験が実施された。
本試験の用量漸増段階における結果、1日1回スチバーガ160mgの用量では皮疹1人、肺炎1人、結腸穿孔1人の合計3人の患者で用量制限毒性(DLT)が確認され、主要評価項目である最大耐用量(MTD)は1日1回スチバーガ120mgとして決定された。しかしながら、用量拡大パート段階において1日1回スチバーガ120mgの用量でグレード3の皮膚障害が確認され、最大耐用量(MTD)は1日1回スチバーガ80mgに変更された。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は40%(95%信頼区間:26%-55%)、がん種別の客観的奏効率(ORR)は胃がん44%、大腸がん36%。病勢コントロール率(DCR)は88%(95%信頼区間:76%-96%)。無増悪生存期間(PFS)中央値は6.3ヶ月(95%信頼区間:3.4-9.3ヶ月)、がん種別の無増悪生存期間(PFS)中央値は胃がん5.8ヶ月、大腸がん6.3ヶ月。
以上のREGONIVO試験の結果より福岡聖大氏らは以下のように結論を述べている。”標準治療不応不耐の切除不能進行再発胃がん・大腸がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬スチバーガ+抗PD-1抗体薬オプジーボ併用療法は、客観的奏効率(ORR)40%を示しました。また、1日1回スチバーガ160mgの用量でしたら、忍容性も問題ありませんでしたので、今後の大規模コーホート試験で有用性を検証していく必要があります。”