・ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・KRd併用療法後の大量化学療法/自家造血幹細胞移植、KRd療法、Rd療法の有効性・安全性を検証
・主要評価項目である微小残存病変陰性率は57%を達成
2019年6月13日から16日までオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)にて、ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)患者に対する導入療法としてのプロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+レナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)+デキサメタゾン併用療法(KRd)後、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)、コンソリデーション療法としてのKRd療法、維持療法としてのRd療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がUniversity Hospital of SalamancaのMaría-Victoria Mateos氏らにより公表された。
本試験は、ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)患者(N=90人)に対して導入療法として4週を1サイクルとして週2回カイプロリス36mg/m2+1~21日目にレブラミド25mg+週1回デキサメタゾン40mg併用療法を6サイクル投与後、メルファラン200mg/m2大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)を実施し、コンソリデーション療法として4週を1サイクルとして週2回カイプロリス36mg/m2+1~21日目にレブラミド25mg+週1回デキサメタゾン40mg併用療法を2サイクル投与後、維持療法としてレブラミド10mg+デキサメタゾン20mg併用療法を2年間投与し、主要評価項目として導入療法完了時点、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)完了時点の微小残存病変(MRD)陰性率を検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)はレブラミドベースの治療により早期介入することで臨床的ベネフィットが得られる可能性が示唆されている。以上の背景より、本患者に対するKRd療法の有効性、安全性を検証した試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である微小残存病変(MRD)陰性率はKRd導入療法完了時点では30%、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)完了時点では52%、KRd療法コンソリデーション時点では57%を示した。また、副次評価項目である完全奏効率(CR)はKRd導入療法完了時点では41%、大量化学療法/自家造血幹細胞移植(HDT/ASCT)完了時点では59%、KRd療法コンソリデーション時点では70%を示した。なお、フォローアップ期間中央値32ヶ月時点において93%の患者が生存しており、98%の患者が病勢進行せずに生存している。
一方の安全性として、KRd導入療法完了時点ではグレード3または4の好中球減少症6%、血小板減少性11%、グレード3または4の感染症18%、皮膚障害9%。KRd療法コンソリデーション時点ではグレード3または4の好中球減少症2人、グレード3または4の感染症3人、皮膚障害1人。
以上の第2相試験の結果よりMaría-Victoria Mateos氏らは以下のように結論を述べている。”ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)患者に対するプロテアソーム阻害薬カイプロリス+レブラミド+デキサメタゾン併用療法は、主要評価項目である微小残存病変(MRD)陰性率を達成しました。”