・複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・ダラザレックス+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証
・腫瘍効果は長期にわたり、客観的奏効率は33%を示した
2019年6月19日、医学誌『British Journal of Haematology』にて複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗CD38モノクローナル抗体薬であるダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のIFM 2014-04試験(NCT02626481)の結果がEileen M. Boyle氏らにより公表された。
本試験は、ボルテゾミブ(商品名ベルケイド)、レナリドミド(商品名レブラミド)、ポマリドミド(商品名ポマリスト)治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対して28日を1サイクルとしてダラザレックス16mg/kg(1~2サイクル目は週1回、3~6サイクル目は2週に1回、7サイクル目以降は月1回)+1週に1回デキサメタゾン40mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、他の臨床試験にて再発難治性多発性骨髄腫患者に対するダラザレックス単剤療法は29.2%の患者で抗腫瘍効果を発揮することが確認されている。以上の背景より、ダラザレックスにデキサメタゾンを上乗せすることで多発性骨髄腫の進行を遅らせる可能性を検証する目的で本試験が実施された。
本試験に登録された64人の患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
67歳(30-80歳)
M蛋白のタイプ
IgA=21%(N=12人)
IgG=66%(N=38人)
ISSステージ分類
ステージ1=47%(N=24人)
ステージ2=30%(N=15人)
ステージ3=24%(N=12人)
Performance Status
スコア0=17%(N=11人)
スコア1=58%(N=37人)
スコア2=25%(N=16人)
多発性骨髄腫診断時よりの期間中央値は6.6年(0.82-22年)。前治療歴は6レジメン(3-10レジメン)であった。
本試験の評価可能であった57人の患者における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は33%を示し、奏効の内訳結果は下記の通りである。厳格な完全寛解率(sCR)1.75%(N=1人)、最良部分奏効率(VGPR)7.02%(N=4人)、部分奏効率(PR)25%(N=14人)、最小奏効率(MR)14%(N=8人)、病勢安定率(SD)33.3%(N=19人)、病勢進行(PD)19%であった(N=11人)。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は4.17ヶ月。厳格な完全寛解率(sCR)、最良部分奏効率(VGPR))、部分奏効率(PR)を達成した患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は6.6ヶ月(95%信頼区間:3.7-14ヶ月)。最小奏効率(MR)、病勢安定率(SD)を達成した患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値は3.7ヶ月を示した(95%信頼区間:3.0-5.5ヶ月)。
全生存期間(OS)中央値は16.7ヶ月(95%信頼区間:11.2ヶ月-24.0ヶ月)。部分奏効率(PR)以上を達成した患者群における全生存期間(OS)中央値は23.7ヶ月(95%信頼区間:14.8ヶ月-未到達)。最小奏効率(MR)、病勢安定率(SD)を達成した患者群における全生存期間(OS)中央値は17.7ヶ月を示した(95%信頼区間:11.7ヶ月-未到達)。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は血球減少症、無力症、インフュージョンリアクション(IR)であった。また、最も多くの患者で確認されたグレード3の治療関連有害事象(TRAE)は貧血33%、好中球減少症26%、血小板減少性17%、高血圧5%を示した。
以上のIFM 2014-04試験の結果よりEileen M. Boyle氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するダラザレックス+デキサメタゾン併用療法は客観的奏効率(ORR)33%を示し、その腫瘍効果も長期に渡りました。”