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進行非小細胞肺がん一次治療のオプジーボ単剤/併用の第1相臨床成績
進行非小細胞肺がんの1次治療における免疫チェックポイント阻害剤PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)の第1相の2つの臨床成績が米国臨床腫瘍学会(ASCO)の機関誌であるジャーナルオブクリニカルオンコロジーに掲載された。
この試験(Checkmate-012)は、非小細胞肺がんと診断された患者を対象に、初回治療として以下の組み合わせにて投与している。
①オプジーボ3mg/kg(52名;扁平上皮がん13名、非扁平上皮がん39名)
②オプジーボ10mg/kg + ジェムシタビン + シスプラチン(12名;扁平上皮がんに使用)
③オプジーボ10mg/kg + ペメトレキセド + シスプラチン(15名;非扁平上皮がんに使用)
④オプジーボ10mg/kg + パクリタキセル + シスプラチン(15名;組織型指定せず)
⑤オプジーボ5mg/kg + パクリタキセル + シスプラチン(14名;組織型指定せず)
*①は2週ごと、病勢進行もしくは許容できない副作用出現まで続けられた。
*②~⑤は3週ごとに4サイクル、病勢進行あるいは許容できない副作用発現まで、オプジーボとプラチナ併用の治療を受けその後、オプジーボ単剤で治療を継続した。
*Checkmate-012試験では上記の他にベバシズマブ(アバスチン)、エルロチニブやイピリムマブ(ヤーボイ)などとも併用しているが、今回の2つの論文は上記のみ言及している。
安全性結果
今回は安全性が主な評価項目であり、以下に示す。
1.オプジーボ単剤の安全性
・治療関連における全副作用発現は71%。
・主な副作用は下痢(29%)、皮疹(19%)、下痢(12%)、関節痛(10%)。
・治療関連のグレード3/4の副作用は19%(10/52名)で確認され、中でも皮疹が2名(4%)であった。
・治療関連副作用の発現で、6名(12%)が治療を継続できなかった。
2.オプジーボと化学療法併用の安全性
・治療開始から6週時点での容量における規制毒性は認められないかった。
・治療関連における全副作用発現は95%。
・治療関連のグレード3/4の副作用は45%(25/56名)で確認され、7%(4名)は肺臓炎であった。
・21%(12名)の患者は治療関連副作用発現のため、治療継続ができなかった。
有効性結果
副次評価項目としては以下の通り。
1.オプジーボ単剤の有効性
・奏効率は23%(12/52名)で、腫瘍が消失した完全奏効は4名で認められ、腫瘍消失効果は持続されていた。
奏効が認められた12名のうち9名(75%)は投与開始から11週目で評価され、8名(67%)はまだ治療継続中であった。
・ 腫瘍のPD-L1発現が認められた患者の奏効率は28%(9/32名)、発現が認められなかった患者の奏効率は14%(2/14名)であり、PD-L1の発現が確認された患者で奏効率が高い傾向にあった。
・無増悪生存期間の平均値は3.6か月、24週時点での無病悪生存率は平均値で41%だった。
・全生存期間は平均値で19.4か月、1年と18か月時点での全生存期間平均値それぞれ73%、57%であった。
2.オプジーボと化学療法併用の有効性
・上記奏効率は、腫瘍に発現するPD-L1に関連性はなかった。
まとめ
・オプジーボ単剤1次治療における許容可能な安全性の内容であり、有効性が得られた患者は長い期間持続することが確認された。
・オプジーボとプラチナ併用療法の安全性はどの治療法でも一貫性があり、治療法別で違いは見られなかった。しかし、治療関連副作用発現による治療が継続できなかった患者は、併用療法で増えている。
・期待できる有効性がそれぞれ確認され、特にオプジーボ5mg/kg + パクリタキセル + カルボプラチン併用では、2年生存率平均値が62%と高い結果となった。
・非小細胞肺がん初回治療を対象とした大規模臨床試験が実施中である。
記事:可知 健太 & 前原 克章