ALTA-1L フェーズ3試験
ALK阻害薬 未治療のALK転座陽性の進行非小細胞肺がん、ブリガチニブとクリゾチニブ(商品名ザーコリ;以下ザーコリ)の比較試験事前に設定された中間解析結果
ALK阻害薬未治療のALK転座陽性の進行非小細胞肺がん において、ブリガチニブはザーコリよりも有意に無増悪生存期間を延長することが明らかとなった。
特に脳転移に対する有効性が高かった。
目次
試験概要
・ALTA-1L試験は、ALK阻害薬未治療のALK転座陽性進行NSCLC患者を対象とした、無作為化非盲検多施設共同フェーズ3試験
・地域の施設でALK転座が確認された全身療法歴が1以下の275人がブリガチニブ投与群(137人)とザーコリ投与群(138人)に1対1で割り付けられた。
・ブリガチニブ投与群の患者には1日1回180mgを投与(最初の7日間は1日1回90mg投与)、ザーコリ投与群には1日2回250mgを投与した。
・患者はベースラインでの脳転移の有無、全身化学療法歴の有無で層別化されていた。
・投薬は増悪、受容不能な副作用の発現、その他の理由による中止まで継続された。
・ザーコリ投与群の患者は、盲検下独立評価委員会の評価で増悪となった場合にブリガチニブへクロスオーバーが認められた。
評価項目
主要評価項目
盲検下独立評価委員会の評価によるRECIST v1.1を用いた無増悪生存期間
副次評価項目
奏効率、頭蓋内病変に対する奏効率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性など。
今回、最初の中間解析(データカットオフは2018年2月19日)の結果が発表された。観察期間中央値は11.0カ月と9.3カ月(0-20.9)で、短期間での解析。
試験結果 – 有効性
盲検下独立画像評価委員会の判定による無増悪生存期間中央値
ブリガチニブ群:臨床統計学的に未到達
ザーコリ群:9.8カ月
病勢進行または死亡リスクがブリガチニブ群で51%有意に減少(HR=0.49)
1年無増悪生存率
ブリがチニブ群:67%
ザーコリ群:43%
化学療法歴があった患者の無増悪生存期間中央値
ブリガチニブ群:臨床統計学的に未到達
ザーコリ群:11.0カ月
病勢進行または死亡リスクがブリガチニブ群で65%有意に減少(HR=0.35)
化学療法歴がない患者の無増悪生存期間中央値
ブリガチニブ群:臨床統計学的に未到達
ザーコリ群:9.8カ月
病勢進行または死亡リスクがブリガチニブ群で45%有意に減少(HR=0.55)
盲検下独立画像評価委員会判定による無増悪生存期間のサブグループ解析は、すべてのサブグループでブリガチニブ群が優位だった。臨床試験登録時、脳転移があった患者では、特にザーコリ群で脳内の新規病変の発生が
多く認められた。
全体の奏効率
ブリガチニブ群:71%(完全奏効が4%)
ザーコリ群:60%(完全奏効が5%)
オッズ比は1.59
奏効期間中央値
ブリガチニブ群:臨床統計学的に未到達
ザーコリ群:11.1カ月
臨床試験登録時測定可能な脳転移があった患者の頭蓋内奏効率
ブリガチニブ群(18人):78%、完全奏効が11%
ザーコリ群(21人):29% 完全奏効は認められなかった
オッズ比は10.42
臨床試験登録時何らかの脳転移があった患者の確認頭蓋内奏効率
ブリガチニブ群(43人):67%、完全奏効が37%
ザーコリ群(47人):17%、完全奏効は4%
オッズ比は13.00
頭蓋内無増悪生存期間中央値
ブリガチニブ群(43人):臨床統計学的に未到達
ザーコリ群(47人):5.6カ月
病勢進行または死亡リスクがブリガチニブ群で73%有意に減少(HR=0.27)
試験結果 – 安全性
ALTA-1L試験でのbrigatinib群の安全性プロファイルは、従来報告されたものと同様だった。
副作用のために減量
ブリガチニブ群:29%
ザーコリ群:21%
投与中止
ブリがチニブ群:12%
ザーコリ群:9%
ブリガチニブ群で減量の原因となった副作用
CPK上昇、リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇、AST上昇
間質性肺疾患/肺炎の発現率
ブリガチニブ群:4%
ザーコリ群:2%
早期の間質性肺疾患/肺炎の発現はブリガチニブ群でのみ3%に起きた