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非小細胞肺がんにおける、免疫チェックポイント阻害薬 ~第3回 PD-1抗体とCTLA-4抗体の複合療法~

オンコロでは、がん治療について全国のオピニオンリーダーにインタビューを実施しております。

今回は、国立がん研究センター中央病院の副院長兼呼吸器内科長の大江 裕一郎先生お話を伺いました。

なお、第1回のテーマは「PD-1抗体」についてでした。第2回のテーマは「EGFR遺伝子変異陽性患者における免疫チェックポイント阻害薬治療」。今回は第3回のテーマは「③PD-1抗体とCTLA-4抗体の複合療法」となります。
前々回記事:非小細胞肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬の現状と今後 ~第1回 PD-1抗体とPD-L1抗体の違い~

前回記事:非小細胞肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬の現状と今後 ~第2回 EGFR陽性患者への免疫チェックポイント阻害薬治療は?~

PD-1抗体とCTLA-4抗体の複合療法の開発状況

オンコロ可知(以下可知):前々回、現在、PD-1抗体やPD-L1抗体と他の免疫チェックポイント阻害薬の併用療法の試験が活発とのことを伺いました。どのような試験結果が出ているのでしょうか。

大江先生:悪性黒色腫について、PD-1抗体ニボルマブとCTLA-4抗体イピリブマブの併用療法がそれぞれの単剤療法よりも効果が認められています。非小細胞肺がんについても、様々な臨床試験が進行中です。以下に2016年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2016)で発表された非小細胞肺がんの初回治療におけるニボルマブとイピリブマブの併用療法の奏効率*をPD-L1発現ごとにまとめたものを示します。
*奏効率:治療開始前よりも腫瘍径の総和が30%以上縮小した症例の割合

ニボルマブ単剤よりもイピリブマブとの併用した場合に、奏効率が高くなることが期待されます。また、PD-L1発現量が高くなるほど奏効率は高くなっています。奏効率が高くとも、無増悪生存期間全生存期間に寄与すことが重要ですが、無増悪生存期間や全生存期間のデータは現在実施中の臨床試験の結果を待つ必要があります。一方、併用療法を行うと毒性が強いことが懸念されます。まだ、臨床試験データが少ないため、更なる結果が待たれます。

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