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EGFR T790M変異陽性転移非小細胞肺がん 第3世代EGFR-TKIタグリッソ 承認取得 発売前無償提供も

3月28日、アストラゼネカ株式会社は、「上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に抵抗性のEGFR T790M 変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)」を効果・効能としたオシメルチニブ(タグリッソ®)の国内における製造販売承認を取得したと発表しました。タグリッソは、T790M遺伝子変異に特化し開発された世界初の抗がん剤となります。

タグリッソは、1日1回投与の新規経口分子標的治療薬となります。既存のEGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有しており、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRチロシンキナーゼを不可逆的に阻害することから、EGFR-TKI薬剤耐性獲得患者さんの新たな治療選択肢となることが期待されます。また、本剤は、野生型EGFRチロシンキナーゼに対する阻害作用が少なく、従来のEGFR-TKIにみられる下痢や皮膚症状等の副作用発現が軽減する可能性も考えられています。

目次

タグリッソ薬価収載前の無償提供を実施

アストラゼネカによると、治療選択肢が極めて限られているT790M耐性変異の患者さんの緊急の要望に一日も早くお応えするために、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度*」のもとで、本剤の無償提供を実施するとのことです。
*日本は混合診療が禁止されており、保険適応前の薬剤を使用すると全ての治療費は患者負担になります。しかしながら、例外的に混合診療を認める制度となります。すなわち、上記は薬価収載するまでは、保険診療下でタグリッソを無償に使用できることとなります。

無償提供の窓口はコチラ(アストラゼネカプレスリリースより転載)

タグリッソの提供は、適正使用を徹底するため、以下の施設で行われます。

・タグリッソの治験を実施している医療機関のうち、承認された適応、用法・用量に従ってのみ使用することに合意された医療機関
・アストラゼネカが実施する市販直後調査・全例調査や適正使用推進等の各種安全対策にご協力いただくことに合意された医療機関

上記提供は、本日以降、各施設での準備が整った時点から開始し薬価収載前日まで続くこととなります。

タグリッソにおけるエビデンス情報

タグリッソの直近の学会関連情報は以下の通りです。
T790変異を有する非小細胞肺がん AZD9291が良好な成績 WCLC2015(オンコロニュース2015/10/16)

T790M遺伝子変異とEGFR-TKI薬剤耐性の課題

EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに有効な既存のEGFR-TKIは、多くの場合、治療開始から1~1年半ほどで薬剤耐性が生じ、病勢が進行します。病勢進行したEGFR-TKI薬剤耐性の患者さんの60%はT790M遺伝子変異を有していますが、T790M遺伝子変異に特化して開発された薬剤はこれまでありませんでした。このため、二次治療化学療法とEGFR-TKIの再投与に限定され、患者さんの予後や治療の結果は満足できるものではありませんでした。有効な治療手段を緊急に必要とする患者さんの深刻な状況を鑑み、2015年7月には、日本肺癌学会と患者団体がタグリッソの早期承認を求める要望書を提出していました。

アストラゼネカのプレスリリースはコチラ

これにより、順調にいけば4月又は5月の中医協にて薬価収載されます。
記事:可知 健太

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