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フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ性白血病(ALL)に対する化学療法+スプリセル、3年無イベント生存期間(EFS)率は65.5%

2017年12月9日、フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ性白血病(ALL)と新規に診断された患者に対する標準化学療法レジメンにダサチニブ(商品名スプリセル)を加えた治療の有効性を検証した第II相のCA180-372試験(NCT01460160)の結果をブリストル・マイヤーズスクイブ社が自社のプレスリリースで公表した。

CA180-372試験とは、フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ性白血病(ALL)患者(N=106人)に対して標準化学療法レジメン+1日1回スプリセル60mg/m2を投与し、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を検証した多施設共同の第II相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である3年無イベント生存期間(EFS)率は65.5% (95%信頼区間[CI]: 57.7〜73.7%)であった。また、3年全生存(OS)率は91.5% (95%信頼区間[CI]: 84.2〜95.5%)であった。

なお、本治療を受けた全ての患者が完全奏効(CR)を達成していた。また、治療開始より78日時点における微少残存病変(MRD)0.05%以上である患者、追加のハイリスク化学療法レジメンによる治療後も微少残存病変(MRD)0.005〜0.05%で微少残存病変(MRD)陽性の患者に対しては初回寛解時点において造血幹細胞移植(HSCT)による治療の適格があるとしている。そして、本試験では19人の患者がこの適格基準を満たし、15人(14.2%)の患者に対して造血幹細胞移植(HSCT)を実施している。

一方の安全性としては、スプリセルの副作用により2人患者が治療継続不可となった。その原因は1人はアレルギー、もう1人は長期に渡る血小板減少症である。最も一般的なグレード3または4の血液有害事象(AE)は発熱性好中球減少症75.5%、敗血症23.6%、菌血症24.5%であった。また、10%以上の患者で発症が確認されたグレード3または4の非血液・非感染有害事象(AE)はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇21.7%、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)上昇10.4%であった。その他グレード3または4の有害事象(AE)は胸水3.8%、浮腫2.8%、出血5.7%、心不全0.8%であった。

CA180-372試験の結果を受けて、本試験のリードオーサーであるフィラデルフィア小児病院小児がんセンター所属のStephen Hunger氏は以下のように述べている。”フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ性白血病(ALL)は以前としてリスクの高い白血病です。本試験では、フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ性白血病(ALL)患者に対して標準化学療法レジメンにスプリセルを加えることで、近年に北米・欧州で実施された大規模試験で報告された無イベント生存期間(EFS)率、全生存(OS)率と同様の結果が得られることが証明されました。さらに、初回寛解時点において造血幹細胞移植(HSCT)による治療を受けた患者さんが本試験では少なかったことからも、本患者さんに対するスプリセルの治療選択肢としての可能性を示唆しているでしょう。”

また、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の血液領域開発責任者であるJonathan Leith氏は以下のように述べている。”フィラデルフィア染色体陽性は他の急性リンパ性白血病(ALL)に比べて成人も小児も予後が悪いことが知られており、治療選択肢が限られています。スプリセルはフィラデルフィア染色体陽性成人急性リンパ性白血病(ALL)に対する重要な治療選択肢として10年以上に渡り貢献してきましたが、本試験の結果は小児患者に対する治療選択肢としてのスプリセルの可能性を示唆しているでしょう。”

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