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中枢神経系(CNS)に転移を有する未治療ALK陽性非小細胞肺がん患者に対するALK阻害薬アレセンサ、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に延長する

この記事の3つのポイント
・脳転移を有するALK陽性非小細胞肺がん患者を対象とした第Ⅲ相試験
アレセンサ単剤とザーコリ単剤の有効性を比較検証した
・脳転移等の有無を問わず、アレセンサが無増悪生存期間を統計学的有意に延長

2018年9月12日、医学誌『Annals of Oncology』にて中枢神経系CNS)に転移を有する未治療のALK陽性非小細胞肺がん患者に対するALK阻害薬であるアレクチニブ(商品名アレセンサ;以下アレセンサ)単剤療法、クリゾチニブ(ザーコリ;以下ザーコリ)単剤療法の有効性を比較検証した第III相のALEX試験(NCT02075840)のサブグループ解析結果がUniversity of Michigan・S Gadgeel氏らにより公表された。

ALEX試験とは、未治療のALK陽性非小細胞肺がん患者(N=303人)に対して1日2回アレセンサ600mg単剤療法を投与する群、または1日2回ザーコリ250 mg単剤療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第III相試験である。

なお、今回のサブグループ解析の結果では中枢神経系(CNS)に転移の有無別、放射線治療歴の有無別の無増悪生存期間(PFS)、中枢神経系(CNS)に転移を有する患者群(N=122人)における客観的奏効率ORR)などを評価項目として検証している。

本サブグループ解析が実施された背景として、ALEX試験の主要評価項目である全患者群における無増悪生存期間(PFS)がザーコリ群に比べてアレセンサ群で統計学有意に延長を示したため、中枢神経系(CNS)に転移を有する患者群においても同様の有効性があるかどうかを検証するためである。

中枢神経系(CNS)に転移を有するアレセンサ群(N=64人)、ザーコリ群(N=58人)のそれぞれの患者背景は下記の通りである。年齢中央値はアレセンサ群58歳(25-81歳)に対してザーコリ群54歳(18-81歳)。性別はアレセンサ群で男性53%(N=34人)、女性47%(N=30人)に対してザーコリ群で男性38%(N=22人)、女性62%(N=36人)。人種はアレセンサ群でアジア人42%(N=27人)に対してザーコリ群でアジア人48%(N=28人)。

ECOG Performance Statusはアレセンサ群でスコア0-1が92%(N=59人)、スコア2が8%(N=5人)に対してザーコリ群でスコア0-1が91%(N=53人)、スコア2が9%(N=5人)。肺がんの組織学的分類はアレセンサ群で腺がん89%(N=57人)、扁平上皮がん3%(N=2人)、その他5%(N=3人)に対してザーコリ群で腺がん97%(N=56人)、扁平上皮がん0%、その他3%(N=2人)。

脳放射線治療歴のある患者はアレセンサ群で39%(N=25人)に対してザーコリ群で36%(N=21人)。中枢神経系(CNS)に測定可能な転移のある患者はアレセンサ群で33%(N=21人)に対してザーコリ群で38%(N=22人)。以上のように両群間における患者背景に大きな偏りはなかった。

本結果の結果は下記の通りである。中枢神経系(CNS)に転移のある患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はザーコリ群に比べてアレセンサ群で統計学有意に延長を示した(HR:0.40, 95%信頼区間:0.25–0.64)。中枢神経系(CNS)に転移のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値もザーコリ群に比べてアレセンサ群で統計学有意に延長を示した(HR:0.51, 95%信頼区間:0.33–0.80)。以上のように、無増悪生存期間(PFS)において中枢神経系(CNS)転移の有無によるザーコリに対するアレセンサの効果の違いは確認されなかった。

また、放射線治療歴のある患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はザーコリ群に比べてアレセンサ群で統計学有意に延長を示した(HR:0.34, 95%信頼区間:0.15–0.78)。また、放射線治療歴のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値もザーコリ群に比べてアレセンサ群で統計学有意に延長を示した(HR:0.44, 95%信頼区間:0.25–0.78)。

中枢神経系(CNS)転移のある・放射線治療歴のある患者群における客観的奏効率(ORR)はアレセンサ群85.7%(N=6/7人)に対してザーコリ群71.4%(N=5/7人)。中枢神経系(CNS)転移のある・放射線治療歴のない患者群における客観的奏効率(ORR)はアレセンサ群78.6%(N=11/14人)に対してザーコリ群40.0%(N=6/15人)。

以上のALEX試験のサブグループ解析結果よりS Gadgeel氏らは以下のように結論を述べている。”中枢神経系(CNS)に転移を有する未治療のALK陽性非小細胞肺がん患者に対して、アレセンサ単剤療法はザーコリ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を中枢神経系(CNS)転移の有無、放射線治療歴の有無に関係なく統計学有意に改善しました。”

Alectinib versus crizotinib in treatment-naïve anaplastic lymphoma kinase-positive (ALK+) non-small-cell lung cancer: CNS efficacy results from the ALEX study(Annals of Oncology, mdy405, https://doi.org/10.1093/annonc/mdy405)

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