・既に発表された進行非小細胞肺がん患者対象の試験の別角度のから解析
・病態進行があってもテセントリクを使用した方のデータ
・(本試験では病態進行時も継続使用可能であった)
・7%で奏効が確認され49%で病勢安定が確認された
2018年9月11日、医学誌『Journal of Thoracic Oncology』にて抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)単剤療法後に増悪した進行性非小細胞肺がん患者に対し、テセントリク継続投与の有効性を検証した後ろ向き試験の結果がUC Davis Comprehensive Cancer Center・David R. Gandara氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者(N=850人)に対して3週毎にテセントリク1200mg単剤療法を投与する群、または3週毎にドセタキセル75mg/m2単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した第III相のOAK試験(NCT02008227)にてテセントリク群に振り分けられた患者を対象に、病勢進行後もテセントリク単剤療法を継続投与し、増悪後の全生存期間(OS)、安全性などを検証した後ろ向き試験である。
なお、免疫チェックポイント阻害薬の場合、腫瘍に免疫細胞が集まる結果、腫瘍の成長や新病変の発現という形で、がんが進行しているように見えることがあり、これをPseudo progression(シュードプログレッション;偽増悪)とよぶ。それ故、一度目の憎悪で治療を中止することなく投与を続ける場合がある。
本試験の結果、テセントリク単剤療法増悪後にテセントリク単剤療法を継続投与した患者群(N=168人)における全生存期間(OS)中央値は12.7ヶ月(95%信頼区間:9.3-14.9ヶ月)、テセントリク単剤療法増悪後に他の治療へスイッチした患者群(N=94人)で8.8ヶ月(95%信頼区間:6.0-12.1ヶ月)、テセントリク単剤療法増悪後に治療を追加して実施しない患者群(N=70人)で2.2ヶ月(95%信頼区間:1.9-3.4ヶ月)であった。
なお、テセントリク単剤療法増悪後にテセントリク単剤療法を継続投与した患者群の7%で奏効が確認され、49%で病勢安定が確認されている。また、テセントリク継続投与をしても治療関連有害事象(TRAE)発症のリスクは増加しなかった。
以上の後ろ向き試験の結果よりDavid R. Gandara氏らは以下のように結論を述べている。”後ろ向き試験の解析結果にはなりますが、治療歴のある進行性非小細胞肺がん患者に対しテセントリク単剤療法増悪後にテセントリク単剤療法を継続投与することで、全生存期間(OS)を改善する可能性が示唆されました。”