2019年7月3~6日までスペイン・バルセロナで開催されたthe ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019(WCGC 2019)にて局所進行性/転移性大腸がん患者に対する抗ミュラー管ホルモンII型受容体(AMHR-II)を標的にしたモノクローナル抗体薬であるMurlentamab(GM102)単剤療法、Murlentamab(GM102)+トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(商品名ロンサーフ;以下ロンサーフ,略称TAS-102)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がUniversity Hospitals GasthuisbergのEric Van Cutsem氏らにより公表された。
本試験は、局所進行性/転移性大腸がん患者に対して週1回Murlentamab(GM102)7mg/kg単剤療法を投与する群(N=21人)、または週1回Murlentamab(GM102)7mg/kg+ロンサーフ併用療法を投与する群(N=18人)に分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験に登録された39人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は60歳で、性別は男性61.5%。原発巣部位は直腸33.3%、結腸66.7%、右側50%、左側50%。KRAS遺伝子変異ステータスは変異型64.1%。前治療歴中央値は3レジメン。AMHR-II発現(IHC)の割合は85.3%だった。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は、単剤群(N=14人)では奏効は確認されなかったが治療開始2ヶ月時点で病勢安定(SD)21.4%、4ヶ月時点で7.1%が、併用群(N=15人)では奏効は確認されなかったが治療開始2ヶ月時点で病勢安定(SD)53.3%、4ヶ月時点で40.0%、6ヶ月時点で30.8%を示した。また、治療期間中央値は、AMHR-II陽性腫瘍細胞20%以上の併用群の6.0ヶ月に対して、20%未満では2.4ヶ月を示した。
一方の安全性として、併用群でのみ10人の患者で有害事象が確認され、多くの患者で確認された有害事象は食欲不振、嘔吐、悪心、便秘、無力症であった。
以上の第2相試験の結果よりEric Van Cutsem氏らは以下のように結論を述べている。”AMHR-II高発現の局所進行性/転移性大腸がん患者に対する抗ミュラー管ホルモンII型受容体モノクローナル抗体薬であるMurlentamab(GM102)+ロンサーフ(TAS-102)は無増悪生存期間(PFS)が良好でした。”