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再発婦人科がん患者に対するイミフィンジ+リムパーザ+セジラニブ併用療法、良好な抗腫瘍効果を示す

この記事の3つのポイント
・再発婦人科がん患者が対象の第1相試験
・イミフィンジ+リムパーザ+セジラニブ併用療法安全性を検証
忍容性は問題なく、客観的奏効率は44%を示した

2019年7月25日、医学誌『Journal for ImmunoTherapy of Cancer』にて再発婦人科がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;以下イミフィンジ)+PARP阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)+VEGFR-1/2/3阻害薬であるセジラニブ(AZD2171)併用療法の安全性を検証した第1相試験(NCT02484404)の結果がNational Cancer InstituteのAlexandra S. Zimmer氏らにより公表された。

本試験は、卵巣がん、子宮内膜がん、トリプルネガティブ乳がん等の再発婦人科がん患者(N=9人)に対して4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+1日2回リムパーザ300mg+1週を1サイクルとして1~5日目にセジラニブ15~20mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、第2相試験推奨用量(RPIID)などを検証した第1相試験である。

本試験が実施された背景として、過去の臨床試験にてPARP阻害薬リムパーザ+VEGFR-1/2/3阻害薬セジラニブ併用療法は、リムパーザ単剤療法に比べて再発難治性卵巣がん患者に対する抗腫瘍効果が高いことが示されている。また、免疫チェックポイント阻害薬は各がんに対して良好な成績を示しているが、婦人科がんにおける治療成績は改善の余地がある。以上の背景より、抗PD-L1抗体薬、PARP阻害薬、VEGFR-1/2/3阻害薬を併用した本試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。

年齢中央値
59歳(44-73歳)

BRCA遺伝子変異ステータス
変異型=1人
野生型=7人
不明=1人

ECOG Performance Status
スコア0=3人
スコア1=6人
スコア3=0人

前治療歴中央値
2レジメン

前治療歴の種類
PARP阻害薬=0人
ベバシズマブ(商品名アバスチン)=2人

がんの種類
卵巣がん=7人
子宮内膜がん=1人
トリプルネガティブ乳がん=1人

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は高血圧1人、貧血1人、リンパ球減少症3人。なお、用量制限毒性DLT)を発現した患者は0人であり、主要評価項目である第2相試験推奨用量(RPIID)は4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+1日2回リムパーザ300mg+1週を1サイクルとして1~5日目にセジラニブ20mgとして決定した。もう1つの主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は44%を示し、奏効の内訳としては部分奏効(PR)4人、病勢安定SD)3人であった。なお、臨床的有用性(CBR)は67%を示した。

以上の第1相試験の結果よりAlexandra S. Zimmer氏らは以下のように結論を述べている。”再発婦人科がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+PARP阻害薬リムパーザ+VEGFR-1/2/3阻害薬セジラニブ併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした。今後は、第2相段階へ臨床試験を進め、本治療の有用性を検証していきます。”

A phase I study of the PD-L1 inhibitor, durvalumab, in combination with a PARP inhibitor, olaparib, and a VEGFR1–3 inhibitor, cediranib, in recurrent women’s cancers with biomarker analyses(J Immunother Cancer. 2019 Jul 25;7(1):197. doi: 10.1186/s40425-019-0680-3.)

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