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未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対するテセントリク+化学療法、無増悪生存期間を有意に改善

この記事の3つのポイント
・未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者が対象の第3相試験
・テセントリク+化学併用療法有効性安全性を検証
無増悪生存期間を統計学的有意に改善し、忍容性も問題がなかった

2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+プラチナ系抗がん剤ベースの化学併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のIMvigor130試験(NCT02807636)の結果がMD Anderson Cancer Centre in MadridのEnrique Grande氏らにより公表された。

IMvigor130試験とは、未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者(N=1213人)に対してテセントリク+ゲムシタビン+シスプラチン/カルボプラチン併用療法を投与する群(N=447人)、またはテセントリク単剤療法を投与する群(N=369人)、またはプラセボ+プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法を投与する群(N=397人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間OS)を比較検証した第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値11.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+化学療法群8.2ヶ月(95%信頼区間:6.5-8.3ヶ月)に対してプラセボ+化学療法群6.3ヶ月(95%信頼区間:6.2-7.0ヶ月)、テセントリク+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを18%減少(HR:0.82,95%信頼区間:0.70-0.96,P= 0.007)した。

もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はテセントリク+化学療法群16.0ヶ月に対してプラセボ+化学療法群13.4ヶ月、テセントリク+化学療法群で死亡(OS)のリスクを17%減少(HR:0.83,95%信頼区間:0.69-1.00,P= 0.027)するも統計学的有意な改善効果は見られなかった。なお、テセントリク単剤群の全生存期間(OS)中央値は13.1ヶ月を示し、プラセボ+化学療法群に比べて死亡(OS)のリスクを2%増加(HR:1.02,95%信頼区間:0.83-1.24)した。

副次評価項目である客観的奏効率ORR)はテセントリク+化学療法群47%に対してテセントリク単剤群23%に対してプラセボ+化学療法群44%、完全奏効率(CR)はそれぞれ13%、6%、7%を示した。

一方の安全性として、テセントリク群で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなく、既存の安全性プロファイルと一致していた。なお、治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はテセントリク+化学療法群34%に対してテセントリク単剤群6%に対してプラセボ+化学療法群34%の患者で確認された。

以上のIMvigor130試験の結果よりEnrique Grande氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の局所進行性または転移性尿路上皮がん患者に対するテセントリク+化学療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、忍容性も問題ありませんでした。”

Adding Atezolizumab to Front-Line Platinum-Based Chemotherapy Improves Progression-Free Survival in mUC[ESMO 2019 Oncology News]

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