・キイトルーダによる治療を受けたステージIII悪性黒色腫患者が対象の第3相試験
・免疫関連有害事象と無再発生存期間の関係性について検証
・免疫関連有害事象を発現した患者において、再発または死亡のリスクを39%改善した
2020年1月2日、医学誌『JAMA Oncology』にて抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)による治療を受けたステージIII悪性黒色腫(メラノーマ)患者における免疫関連有害事象(irAE)と無再発生存期間(RFS)の関係性について検証した第3相のEORTC 1325/KEYNOTE-054試験(NCT02362594)の二次解析結果がGustave RoussyのAlexander Eggermont氏らにより公表された。
EORTC 1325/KEYNOTE-054試験とは、根治切除後のステージIIIA/IIIB/IIIC悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=1019人)に対する術後化学療法として、21日を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mgを病勢進行または最大1年間投与する群(N=509人)、または21日を1サイクルとして1日目にプラセボを病勢進行または最大1年間投与する群(N=502人)に1対1対の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
初回解析の結果では、主要評価項目である無再発生存期間(RFS)はキイトルーダ群で再発または死亡のリスク(RFS)を44%(HR:0.56,98.4%信頼区間:0.43-0.74)統計学有意に改善することが示されている。
本試験において免疫関連有害事象(irAE)と無再発生存期間(RFS)の関係性が検証された背景としては、抗PD-1抗体薬、抗CTLA-4抗体薬などの免疫チェックポイント阻害薬による治療を受け、免疫関連有害事象(irAE)を発症した悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん患者はそうでない患者に比べて無再発生存期間(RFS)を改善することが示されている。しかしながら、大規模試験にて本知見は検証されていないため、第3相のEORTC 1325/KEYNOTE-054試験にて二次解析が実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
性別
キイトルーダ群=男性 62.9%、女性 37.1%
プラセボ群=男性 60.2%、女性 39.8%
BMI値
キイトルーダ群=25単位未満 30.3%、25‐29.9単位 43.6%、30単位以上 23.8%
プラセボ群=25単位で未満 36.3%、25‐29.9単位 38.6%、30単位以上 24.5%
進行病期
キイトルーダ群=ステージIIIA 15.1%、ステージIIIB 46.4%、ステージIIIC 38.5%
プラセボ群=ステージIIIA 15.1%、ステージIIIB 45.8%、ステージIIIC 39.0%
PD-L1発現率
キイトルーダ群=陽性 83.1%、陰性 11.6%
プラセボ群=陽性 84.3%、陰性 11.4%
以上の背景を有する患者における本試験の結果は下記の通りである。治療開始3ヶ月時点における免疫関連有害事象(irAE)発症率はキイトルーダ群19.4%(95%信頼区間:16.1%-23.0%)に対してプラセボ群4.0%(95%信頼区間:2.5%-6.0%)、治療開始15ヶ月時点ではキイトルーダ群37.4%(95%信頼区間:33.2%-41.6%)に対してプラセボ群9.0%(95%信頼区間:6.7%-11.7%)を示した。なお、免疫関連有害事象(irAE)発現率に性差は確認されなかった。
そして、免疫関連有害事象(irAE)を発現した患者における無再発生存期間(RFS)の結果はキイトルーダ群で免疫関連有害事象(irAE)を発現していない患者に比べて再発または死亡のリスク(RFS)を39%(HR:0.61,95%信頼区間:0.39-0.95,P=0.03)改善したのに対して、プラセボ群では免疫関連有害事象(irAE)を発現していない患者に比べて再発または死亡のリスク(RFS)が37%(HR:1.37,95%信頼区間:0.82-2.29,P=0.21)増加した。
以上のEORTC 1325/KEYNOTE-054試験の二次解析結果よりAlexander Eggermont氏らは以下のように結論を述べている。”抗PD-1抗体薬キイトルーダによる治療を受けたステージIII悪性黒色腫(メラノーマ)患者では、免疫関連有害事象(irAE)の発現は無再発生存期間(RFS)の改善に関係する可能性が示唆されました。”