・切除不能局所進行性膵がん患者が対象の第2相試験
・ナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法の有効性・安全性を検証
・主要評価項目である治療失敗までの期間中央値は9.0ヶ月を示した
2020年1月14日、医学誌『The Lancet Gastroenterology & Hepatology』にて切除不能局所進行性膵がん患者に対するナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のLAPACT試験(NCT02301143)の結果が Karmanos Cancer Institute, Wayne State UniversityのPhilip A Philip氏らにより公表された。
LAPACT試験とは、切除不能局所進行性膵がん患者(N=106人)に対して導入療法として28日を1サイクルとして1, 8, 15日目にナブパクリタキセル125mg/m2 +ゲムシタビン1000mg/m2併用療法を投与後、病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現しない場合には主治医判断による継続治療(ナブパクリタキセル+ゲムシタビン、化学放射線療法、手術療法)を実施し、主要評価項目として治療失敗までの期間(TTF)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した多施設共同オープンラベルの第2相試験である。
本試験の結果、導入療法の治療を受けた患者107人の内44人(41%)が治療中止により継続治療へ移行できなかった。治療中止に至った患者の主な原因は治療関連有害事象(TRAE)であった。また、導入療法を完遂した62人の内47人(44%)が継続治療へ移行し、継続治療の内訳はナブパクリタキセル+ゲムシタビン療法12人、化学放射線療法18人、手術療法17人であった。
本試験の結果、主要評価項目である治療失敗までの期間(TTF)中央値は9.0ヶ月(95%信頼区間:7.3‐10.1ヶ月)を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は10.9ヶ月(95%信頼区間:9.3‐11.6ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は18.8ヶ月(95%信頼区間:15.0‐24.0ヶ月)、病勢コントロール率(DCR)77.6%(95%信頼区間:70.3%‐83.5%)、客観的奏効率(ORR)33.6%(95%信頼区間:26.6%‐41.5%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症33%、貧血11%、疲労10%。最も多くの患者で確認された重篤な治療関連有害事象(TRAE)は肺炎5%、発熱5%、発熱好中球減少症3%。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかった。
以上のLAPACT試験の結果よりPhilip A Philip氏らは以下のように結論を述べている。”切除不能局所進行性膵がん患者に対するナブパクリタキセル+ゲムシタビン併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示しました。また、安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されているものと一致しておりました。”