・未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・キイトルーダ+アリムタ+化学療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間中央値はキイトルーダ群22.0ヶ月に対してプラセボ群10.7ヶ月、キイトルーダ群で死亡のリスクを44%減少した
2020年3月9日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+ペメトレキセド(商品名アリムタ;以下アリムタ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-189試験(NCT02578680)におけるアップデート解析結果がUniversity of MichiganのShirish Gadgeel氏らにより公表された。
KEYNOTE-189試験とは、未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+アリムタ500mg/m2+シスプラチン75mg/m2もしくはカルボプラチン5mg/ml併用療法を4サイクル投与後、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+アリムタ500mg/m2併用療法を病勢進行するまで投与する群(N=410人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+アリムタ500mg/m2+シスプラチン75mg/m2もしくはカルボプラチン5mg/ml併用療法を4サイクル投与後、3週を1サイクルとしてプラセボ+アリムタ500mg/m2併用療法を病勢進行するまで投与する群(N=206人)に2対の1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次効果項目として全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間2(PFS2;無作為より次の治療での客観的な腫瘍進行、死亡に至るまでの期間として定義)などを比較検証した多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。
本試験のアップデート解析が実施された背景として、転移性非小細胞肺がんでは肝臓、脳などの肺外転移は頻繁に生じ、その予後は不良である。以上の背景より、非小細胞肺がんをはじめ複数の癌種で有用性が確認されている免疫チェックポイント阻害薬の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値23.1ヶ月時点における結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ群22.0ヶ月(95%信頼区間:19.5‐25.2ヶ月)に対してプラセボ群10.7ヶ月(95%信頼区間:8.7‐13.6ヶ月)、キイトルーダ群で死亡(OS)のリスクを44%(HR:0.56,95%信頼区間:0.45‐0.70)減少した。
もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ群9.0ヶ月(95%信頼区間:8.1-9.9ヶ月)に対してプラセボ群4.9ヶ月(95%信頼区間:4.7-5.5ヶ月)、キイトルーダ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを52%(HR:0.48,95%信頼区間:0.40-0.58)減少した。
なお、キイトルーダ群における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の改善はPD-L1発現ステータス、脳転移、肝転移の有無に関係のない効果を示している。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ群48.0%に対してプラセボ群19.4%、奏効持続期間(DOR)中央値はキイトルーダ群12.4ヶ月に対してプラセボ群7.1ヶ月を示した。無増悪生存期間2(PFS2)中央値はキイトルーダ群17.0ヶ月(95%信頼区間:15.1-19.4ヶ月)に対してプラセボ群9.0ヶ月(95%信頼区間:7.6-10.4ヶ月)を示した。
以上のKEYNOTE-189試験におけるアップデート解析結果よりShirish Gadgeel氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+アリムタ+化学療法は、PD-L1発現ステータス、脳転移、肝転移の有無に関係のない全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の改善効果を示しました。”