・脳転移のある進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を検証
・PD-L1発現率1%以上の患者群で、転移性脳腫瘍奏効率29.7%を示す
2020年4月3日、医学誌『The Lancet Oncology』にて脳転移のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02085070)の結果がYale School of MedicineのSarah B Goldberg氏らにより公表された。
本試験は、脳転移のある進行性非小細胞肺がん患者(N=42人)に対して2週を1サイクルとしてキイトルーダ10mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として転移性脳腫瘍奏効率(ORR)を検証した第2相試験である。なお、本試験は2コーホートより構成されており、コーホート1はPD-L1発現率1%以上、コーホート2はPD-L1発現率1%未満または測定不能の患者に分けられている。
本試験が開始された背景として、中枢神経系(CNS)転移のある患者における免疫チェックポイント阻害薬の有用性を検証した臨床試験は少ない。以上の背景より、脳転移のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有用性が検証された。
本試験のフォローアップ期間中央値8.3ヶ月(4.5-26.2ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である転移性脳腫瘍奏効率(ORR)はコーホート1で29.7%(N=11/37人,95%信頼区間:15.9%-47.0%)、コーホート2で0%を示した。
グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)としては肺炎、大腸炎、副腎不全、高血糖症、低カリウム血症が確認された。また、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率は14%の患者で確認され、肺炎、急性腎障害、大腸炎、低カリウム血症、副腎不全が確認された。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者でも確認されていない。
以上の第2相試験の結果よりSarah B Goldberg氏らは以下のように結論を述べている。”脳転移のある進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、PD-L1発現率1%以上の患者群にて良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も良好でした。”