・化学療法ナイーブのPD-L1陽性局所進行性転移性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・抗TIGIT抗体Tiragolumab+抗PD-L1抗体薬テセントリク併用療法の有効性・安全性を検証
・プラセボ群に比べて、病勢進行または死亡のリスクを43%減少した
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて、化学療法ナイーブのPD-L1陽性局所進行性転移性非小細胞肺がん患者に対する抗TIGIT抗体であるTiragolumab+抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCITYSCAPE試験(NCT03563716)の結果がHospitales Universitarios Regional y Virgen de la Victoria de MalagaのDelvys Rodriguez-Abreu氏らにより公表される。
CITYSCAPE試験とは、化学療法ナイーブのPD-L1陽性局所進行性転移性非小細胞肺がん患者(N=135人)に対して3週を1サイクルとしてTiragolumab 600mg+テセントリク 1200mg併用療法を投与する群(N=67人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+テセントリク 1200mg併用療法を投与する群(N=68人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はTiragolumab+テセントリク併用群31.3%(95%信頼区間:19.5%-43.2%)に対してプラセボ+テセントリク併用群16.2%(95%信頼区間:6.7%-25.7%)、プラセボ群に比べてTiragolumab+テセントリク併用のオッズ比2.57(95%信頼区間:1.07-6.14)を示した。
また、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はTiragolumab+テセントリク併用群5.4ヶ月(95%信頼区間:4.2ヶ月―未到達)に対してプラセボ+テセントリク併用群3.6ヶ月(95%信頼区間:2.7-4.4ヶ月)、プラセボ群に比べてTiragolumab+テセントリク併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを43%(HR:0.57,95%信頼区間:0.37-0.90)減少した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はTiragolumab+テセントリク併用群80.6%に対してプラセボ+テセントリク併用群72%を示した。また、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はTiragolumab+テセントリク併用群14.9%に対してプラセボ+テセントリク併用群19.1%を示した。
以上のCITYSCAPE試験の結果よりDelvys Rodriguez-Abreu氏らは以下のように結論を述べている。”化学療法ナイーブのPD-L1陽性局所進行性転移性非小細胞肺がん患者に対する抗TIGIT抗体Tiragolumab+抗PD-L1抗体薬テセントリク併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を臨床的意義のある改善を示しました。また、有害事象(AE)発症率に関してはプラセボ群と同等でした。”