・HRAS変異陽性の頭頸部扁平上皮がん、唾液腺腫瘍、尿路上皮がん患者が対象の第2相試験
・Tipifarnib単剤療法の有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間は頭頸部扁平上皮がんで6.1ヶ月、唾液腺腫瘍で7ヶ月、尿路上皮がんで5.1ヶ月
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてHRAS変異陽性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、甲状腺がん、唾液腺腫瘍、尿路上皮がん患者を対象にファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬であるTipifarnib単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のKO-TIP-001試験(NCT02383927)、IST-01試験(NCT02535650)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのAlan Loh Ho氏らにより公表された。
本試験は、HRAS変異陽性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、甲状腺がん、唾液腺腫瘍、尿路上皮がん患者に対して28日を1サイクルとして1~7日目、15~21日目に1日2回Tipifarnib 600~900mg単剤療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、6ヶ月無増悪生存率(PFS)をそれぞれ検証した第2相試験である。
KO-TIP-001試験とIST-01試験において、評価可能であった18人の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者における結果は、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は56%(N=10/18人)を示した。また、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.1ヶ月を示した。
また、評価可能であった12人の再発性/転移性唾液腺腫瘍(SGT)患者における客観的奏効率(ORR)は8%(N=1人)、無増悪生存期間(PFS)中央値は7ヶ月を示した。評価可能であった12人の尿路上皮がん患者における客観的奏効率(ORR)は42%(N=5人)、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.1ヶ月を示した。
再発性/転移性唾液腺腫瘍(SGT)の13例は、KO-TIP-001または拡張アクセスプログラムで治療された。評価対象となった12例(8%)のうち1例で客観的奏効が認められ、追加の7例(58%)では最良の応答として安定(SD)が認められた。SGT患者のPFSの中央値は7か月を示した。
KO-TIP-001試験、IST-01試験、2つの結果よりAlan Loh Ho氏らは「HRAS変異陽性固形がん患者に対するファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬Tipifarnib単剤療法は、有望な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。