・進行性腎細胞がんが対象の第3相試験
・レンビマ+キイトルーダまたはレンビマ+とエベロリムス併用療法の有効性・安全性をスニチニブ単剤と比較検討
・+キイトルーダ併用療法はPFS/OS/ORRを、+エベロリムス併用療法はPFS/ORRを有意に改善
11月10日、エーザイ株式会社と米メルク社は、このたび、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩、以下レンビマ)およびメルク社の抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)の併用療法、およびレンビマとエベロリムスの併用療法について、進行性腎細胞がんの一次療法として、スニチニブに対する有効性を評価する臨床第3相試験(CLEAR(307)/KEYNOTE-581試験)において、ポジティブなトップライン結果を得たと発表した。
CLEAR(307)/KEYNOTE-581試験(NCT02811861)は、進行性腎細胞がんの一次治療を対象に、レンビマとキイトルーダの併用またはレンビマとエベロリムスの併用療法をスニチニブ単剤療法と比較する、多施設共同、非盲検、無作為化の臨床第3相試験。約1,050人の登録患者が、レンビマ(18mg、1日1回経口投与)+エベロリムス(5mg、1日1回経口投与)併用(A群)、レンビマ(20mg、1日1回経口投与)+キイトルーダ(200mg 3週ごと静脈内投与)併用(B群)、または対照薬であるスニチニブ単剤(50mg、1日1回経口投与、4週間投与後、2週間休薬)(C群)に無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、A群とC群、およびB群とC群との間におけるRECIST1.1に基づく独立画像判定による無増悪生存期間(PFS)。重要な副次評価項目には、全生存期間(OS)と奏効率(ORR)および安全性が含まれている。
同試験において、レンビマ+キイトルーダ併用療法は、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center(MSKCC)による予後予測分類の全てのリスクグループの患者を含むITT集団で、主要評価項目のPFSと重要な副次評価項目のOSとORRについて、対照薬のスニチニブに対して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成したという。
また、レンビマ+エベロリムス併用療法もITT集団で主要評価項目(PFS)および重要な副次評価項目(ORR)について、対照薬のスニチニブに対して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。なお、同試験における両併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている臨床試験のものと同様だった。
エーザイとメルク社は今後、同試験のデータに基づく販売承認申請をめざし、世界各国の当局と議論を行うという。また試験結果の詳細については、今後の学会で発表する予定としている。
なお、両社はLEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて13種類(子宮内膜がん、肝細胞がん、メラノーマ、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、尿路上皮がん、胆道がん、大腸がん、胃がん、膠芽腫、卵巣がん、トリプルネガティブ乳がん)のがんにおける19の臨床試験を進めている。
レンビマとは
レンビマは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)のVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能なエーザイ創製のマルチキナーゼ阻害剤。同剤は、単剤療法として、甲状腺がんの適応で日本、米国、欧州、アジアなど65カ国以上で承認を取得済みであり、切除不能肝細胞がんの適応で日本、米国、欧州、中国、アジアなど65カ国以上で承認を取得している。また、血管新生阻害剤治療後の腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法に係る適応で米国、欧州、アジアなど55カ国以上で承認を取得している。
キイトルーダとは
キイトルーダは、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体。同剤はPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害し、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化する。 米メルク社は、現在1200を超えるキイトルーダの臨床試験を実施し、幅広い種類のがんや治療セッティングを検討している。
参照元:
エーザイ株式会社 プレスリリース