1月29日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、新薬を含む5製品の承認することを了承した。うち、抗がん剤関連は4製品。また報告事項※として、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(一般名:ニボルマブ)に食道がんの適応を追加することがこの日、報告された。免疫チェックポイント阻害薬で食道がんの適応を持つのは今回が初。
※報告品目:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
目次
審議品目
カボメティクス錠20mg、同錠60mg(一般名:カボザンチニブリンゴ酸塩)
AXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬。VEGFR2などを介したシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することで、腫瘍血管新生および腫瘍細胞の増殖を阻害。腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(一般名:レナリドミド水和物)
効能・効果:「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」を追加
サイトカイン産生調節作用や造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用などの薬理作用を持つ免疫調節薬。今回追加する適応では、リツキシマブと併用する。
アレセンサカプセル150mg(一般名:アレクチニブ塩酸塩)
効能・効果:「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を追加 ※希少疾病用医薬品
ALK阻害薬。ALK融合遺伝子陽性の腫瘍に対して、ALKのリン酸化を阻害するなどの作用によって、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
ロズリートレクカプセル100mg、同カプセル200mg(一般名:エヌトレクチニブ)
効能・効果:「ROS1融合遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を追加
ROS1とTRKファミリーを選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬。ROS1とTRKのキナーゼ活性を阻害することで、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。
なお、中外製薬の網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」は、2019年12月にロズリートレクの今回の適応症に対するコンパニオン診断機能を追加する承認を取得している。同システムはROS1融合遺伝子を検出することで、同剤の非小細胞肺がんにおける適応判定を補助する。
報告予定品目
オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))
効能・効果:「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がん」を追加 ※食道がんは優先審査品目。
ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(免疫チェックポイント阻害薬)。いずれの適応もオプジーボ単剤で用いる。
免疫チェックポイント阻害薬としてMSI-Highを有する結腸・直腸がんの適応を有するのは、キイトルーダに続いて2つ目。同阻害薬の食道がんへの適応は、オプジーボが初。