・局所進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・術前化学療法としてのカムレリズマブ+nab-パクリタキセル+シスプラチン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・病理学的完全奏効率は57.1%を示す
2020年12月9日~12日に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Immuno Oncology)にて局所進行性非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるカムレリズマブ+nab-パクリタキセル+シスプラチン併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04338620)の中間解析の結果がThe Fourth Military Medical UniversityのJie Lei氏らにより公表された。
本試験は、局所進行性非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法として21日を1サイクルとして1日目にカムレリズマブ200mg+1、8日目にnab-パクリタキセル130mg/m2+1日目にシスプラチン75mg/m2併用療法を3サイクル投与する群(N=14人)、または21日を1サイクルとして1、8日目にnab-パクリタキセル130mg/m2+1日目にシスプラチン75mg/m2併用療法を3サイクル投与する群(N=13人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、副次評価項目としてMajor Pathologic Response(MPR)、客観的奏効率(ORR)などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬カムレリズマブは化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)を統計学有意に改善することが示されている。しかしながら、術前化学療法としての抗PD-1抗体薬カムレリズマブ+化学療法の有効性、安全性は臨床試験で検証されていない。以上の背景より、局所進行性非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬カムレリズマブ+nab-パクリタキセル+シスプラチン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された27人の患者全てが少なくとも1サイクルの治療を受け、手術を受けた患者はカムレリズマブ群7人、化学療法群6人であった。以上の背景を有する患者における本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はカムレリズマブ群の57.1%(N=4/7人)に対して化学療法群で16.7%(N=1/6人)、Major Pathologic Response(MPR)はカムレリズマブ群の28.6%(N=2/7人)に対して化学療法群で16.7%(N=1/6人)、客観的奏効率(ORR)はカムレリズマブ群の86.7%に対して化学療法群で57.1%を示した。
一方の安全性として、カムレリズマブ群でグレード1の反応性皮膚毛細血管内皮増殖が64.3%の(N=9/14人)患者で確認され、それ以外の有害事象(AE)に関しては両群間で同等であった。なお、グレード4~5の有害事象(AE)は1人の患者でも報告されていない。
以上の第2相試験の結果よりJie Lei氏らは「局所進行性非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬カムレリズマブ+nab-パクリタキセル+シスプラチン併用療法は、化学療法に比べて病理学的完全奏効率(pCR)をはじめとした奏効率(RR)が高い可能性が示唆されました。今後最終解析を行う予定です」と結論を述べている。