2021年1月25日、医学誌『The Lancet』にて治療歴のある進行性胃がん患者に対してロンサーフ(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、以下ロンサーフ)+抗VEGFR2完全ヒトモノクローナルIgG1抗体であるサイラムザ(一般名:ラムシルマブ、以下サイラムザ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(JapicCTI-194596)の結果が国立がん研究センター東病院の川添彬人氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のある進行性胃がん患者(N=64人)に対して28日を1サイクルとして1~5日、8~12に目に1日2回ロンサーフ35mg/m2+1、15日目にサイラムザ8mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として病勢コントロール率(DCR)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証したシングルアームオープンラベルの第2相試験である。なお、本試験は2コホートに分かれており、コホートAは前治療歴にサイラムザを含まない1レジメンの群、コホートBは前治療歴にサイラムザを含む2~4レジメンの群である。
本試験が開始された背景として、大腸がん患者に対するロンサーフ+サイラムザ併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示すことが基礎試験、臨床試験にて示されている。以上の背景より、治療歴のある進行性胃がん患者に対するロンサーフ+サイラムザ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である病勢コントロール率(DCR)はコホートAで85%(95%信頼区間:68-95%、N=28/33人)、コホートBで77%(95%信頼区間:59-90%、N=24/31人)を示した。
一方の安全性としては、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。好中球数減少はコホートAで82%、コホートBで74%、白血数減少はコホートAで24%、コホートBで23%、血小板数減少はコホートAで24%、コホートBで13%を示した。重篤な有害事象(SAE)を発症した患者はコホートAで3人で、その内容は倦怠感、好中球数減少、大腸穿孔、発熱性好中球減少症、血小板数減少、貧血であった。一方コホートBでは0人であった。
以上の第2相試験の結果より、川添彬人氏らは「治療歴のある進行性胃がん患者に対するロンサーフ+抗VEGFR2完全ヒトモノクローナルIgG1抗体サイラムザ併用療法は、前治療歴の内容に関わらず良好な抗腫瘍効果を示し、安全性プロファイルも良好でした」と結論を述べている。