・ステージII/III直腸がん患者が対象の第2相試験
・ネオアジュバンド療法としてキイトルーダ+FOLFOX+カペシタビン+放射線療法有効性・安全性を比較検証
・NARスコアの改善率はキイトルーダ併用群11.53であり、統計学的有意な改善は見られなかった
2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にてステージII/III直腸がん(LARC)患者に対するネオアジュバント療法としてのFOLFOX+カペシタビン+放射線療法+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験の結果がDana-Farber Cancer InstituteのOsama Rahma氏らにより公表された。
本試験は、ステージII/III直腸がん患者(N=185人)に対するネオアジュバント療法としてFOLFOX+カペシタビン+放射線療法+キイトルーダ併用療法を実施する群(N=90人)、またはFOLFOX+カペシタビン+放射線療法療法を実施する群(N=95人)に無作為に振り分け、主要評価項目としてNeoadjuvant Rectal Cancer(NAR)スコアの改善率、副次評価項目として全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、病理学的完全奏効率(pCR)、臨床的完全奏効率(cCR)などを比較検証したランダム化第2相試験である。
本試験の評価可能で137人(キイトルーダ併用群N=69人、コントロール群N=68人)における結果は下記の通りである。主要評価項目であるNeoadjuvant Rectal Cancerスコアの改善率はキイトルーダ併用群の11.53(95%信頼区間:8.5~14.6)に対してコントロール群で14.08(95%信頼区間:10.7~17.4)と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.26)。
副次評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はキイトルーダ併用群の31.9%に対してコントロール群で29.4%(P=0.75)、臨床的完全奏効率(cCR)はキイトルーダ併用群の13.9%に対してコントロール群で13.6%(P=0.95)を示した。なお、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)に関しては両群間で未到達であった。
一方、安全性としてグレード3/4の有害事象(AE)はキイトルーダ併用群48.2%に対して、コントロール群は37.3%であった。
以上の第2相試験の結果よりOsama Rahma氏らは「ステージII/III直腸がん患者に対するネオアジュバント療法としてのFOLFOX+カペシタビン+放射線療法に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダの上乗せは、安全性は確認されましたが、Neoadjuvant Rectal Cancerスコアの改善効果は確認されませんでした」と結論を述べている。