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治療歴のある転移性/切除不能胃がんに対するレンビマ+キイトルーダ併用療法、客観的奏効率10%を示す

この記事の3つのポイント
・2レジメン以上の治療歴がある進行性固形がん患者が対象の第2相試験の胃がんコホート
・レンビマ+キイトルーダ併用療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率10%を示し、1名は完全奏功を認めた

2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて2レジメン以上の治療歴のある進行性固形がん患者に対する経口マルチキナーゼ阻害薬であるレンビマ(一般名:レンバチニブ、以下レンビマ)+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のLEAP-005試験(NCT03797326)の胃がんコホートの結果がYonsei UniversityのHyun Cheol Chung氏らにより公表された。

なお、LEAP-005試験は7つのコホートに分かれており、トリプルネガティブ乳がん、卵巣がん、胃がん、大腸がん、膠芽腫、胆道がん、膵臓がんのコホートである。

本試験の胃がんコホートは、2レジメン以上の治療歴のある転移性/切除不能胃がん患者(N=31人)に対して1日1回レンビマ20mg+3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg併用療法を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで最大35サイクル投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、病勢コントロール率DCR)、奏効持続期間(DOR)を検証した。

本試験が開始された背景として、第2相臨床試験にて進行性胃がん患者に対するファーストラインセカンドライン治療としてのマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は臨床的期待のできる抗腫瘍効果を示しており、かつ安全性も良好である。以上の背景より、2レジメン以上の治療歴のある進行性固形がん患者に対する本治療の有用性を検証する目的で試験が開始された。

胃がんコホートに登録された患者背景は以下の通り。男性が87%。65歳未満が58%。PD-L1陽性率(CPSスコア1)が71%。前治療で病勢進行した患者は61%であった。

主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は10%(95%信頼区間:2~26%)、その内訳は完全奏効率(CR)は3%(N=1人)、部分奏効率(PR)は6%(N=2人)、病勢安定率(SD)は39%(N=12人)を示した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は未到達、病勢コントロール率(DCR)は48%(95%信頼区間:30~67%)、無増悪生存期間(PFS) 中央値は2.5ヶ月(95%信頼区間:1.8~4.2ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は5.9ヶ月(95%信頼区間:2.6~8.7ヶ月)を示した。

治療関連有害事象(TRAE)発症率は90%(N=28人)で、免疫関連の治療関連有害事象(irTRAE)発症率は26%(N=8人)だった。主な免疫関連の治療関連有害事象は甲状腺機能低下症(N=5人)、甲状腺機能亢進症(N=2人)、非感染性肺炎(N=1人)で、インフュージョンリアクションは1人の患者も確認されなかった。

以上のLEAP-005試験の胃がんコホートの結果よりHyun Cheol Chung氏らは「2レジメン以上の治療歴のある進行性胃がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、臨床的期待のできる抗腫瘍効果を示し、安全性プロファイルも管理可能な内容でした。以上の結果より、本試験の胃がんコホートの登録患者数は100人まで拡大されております」と結論を述べている。

LEAP-005: A phase II multicohort study of lenvatinib plus pembrolizumab in patients with previously treated selected solid tumors: Results from the gastric cancer cohort.(2021 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium,Abstract No:230)

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