・再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてのイミフィンジ+トレメリムマブ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・標準治療と比較し、全生存期間の有意な延長は認めなかった
2021年2月5日、英アストラゼネカ社はプレスリリースにて、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKESTREL試験(NCT02551159)の主要評価項目である全生存期間(OS)の結果を公表した。
KESTREL試験とは、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対するファーストライン治療としてイミフィンジ単剤療法群、イミフィンジ+トレメリムマブ併用療法群、EXTREMEレジメン(セツキシマブ+シスプラチン/カルボプラチン+フルオロウラシル群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、頭頸部がんは世界で約75万人の患者が発症し、このうち3分の2の患者が進行期で診断され、最終的に半数以上の患者が治療後に再発を経験する。治癒不能転移性頭頸部がん患者の全生存期間(OS)は1年未満であり、新たな治療法の開発が必要とされている。以上の背景より、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者に対するファーストライン治療としてのイミフィンジ+トレメリムマブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)は標準治療であるEXTREMEレジメンに比べてイミフィンジ群で全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善せず、主要評価項目を達成することができなかった。一方の安全性として、イミフィンジ単剤療法ならびにイミフィンジ+トレメリムマブ併用療法の安全性プロファイルは既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、忍容性は問題なかった。
アストラゼネカ社オンコロジー領域のExecutive Vice PresidentであるDave Fredrickson氏は「転移性頭頸部がんは、予後不良を伴う複雑で困難な疾患です。今回の結果は残念でしたが、KESTREL試験で得られた知見は、当社の臨床開発プログラムにおける免疫療法への理解と応用を促進するものと考えています。当社は、早期肺がんおよび小細胞肺がんにおけるイミフィンジの有効性が確立されているため、今後、免疫療法治療の選択肢をすべての患者さんに提供できるよう、引き続き努力してまいります」と述べている。