・進行性腎細胞がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてレンビマ+キイトルーダ併用療法の有効性・安全性をスニチニブと比較検証
・無増悪生存期間はレンビマ+キイトルーダ群23.9ヶ月を示し、全生存期間とともにスニチニブ群に対して統計学的有意に延長した
2021年4月8日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのマルチキナーゼ阻害剤レンビマ(一般名:レンバチニブメシル酸塩、以下レンビマ)+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCLEAR試験(307/KEYNOTE-581試験:NCT02811861)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのRobert J. Motzer氏らにより公表された。
CLEAR試験とは、進行性腎細胞がん患者(N=1069人)に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとして1日1回レンビマ20mg+1日目にキイトルーダ200mg併用療法を投与する群(N=355人)、または1日1回レンビマ18mg+1日1回エベロリムス5mg併用療法を投与する群(N=357人)、または1日1回スニチニブ50mg単独療法を4週間投与し、その後2週間休薬する群(N=357人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立評価委員会(IRC)判定による無増悪生存期間(PFS)、その他評価項目として全生存期間(OS)、安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性腎細胞がんに対するマルチキナーゼ阻害剤レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ、エベロリムス併用療法は良好な抗腫瘍効果を示している。しかしながら、進行性腎細胞がんの標準治療であるスニチニブに比較したマルチキナーゼ阻害剤レンビマの有用性については明らかではない。以上の背景より、進行性腎細胞がんに対するレンビマ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である独立評価委員会(IRC)判定による無増悪生存期間(PFS)中央値はレンビマ+キイトルーダ併用群23.9ヶ月、レンビマ+エベロリムス併用群14.7ヶ月に対してスニチニブ単剤群9.2ヶ月、スニチニブ単剤群に比べてレンビマ+キイトルーダ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを61%減少(HR:0.39、95%信頼区間:0.32-0.49、P<0.001)、スニチニブ単剤群に比べてレンビマ+エベロリムス併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%減少(HR:0.65、95%信頼区間:0.53-0.80、P<0.001)を示した。
その他評価項目である全生存期間(OS)はスニチニブ単剤群に比べてレンビマ+キイトルーダ併用群で死亡(OS)のリスクを34%減少(HR:0.66、95%信頼区間:0.49-0.88、P=0.005)したが、スニチニブ単剤群に比べてレンビマ+エベロリムス併用群で死亡(OS)のリスクを15%増加(HR:1.15、95%信頼区間:0.88-1.50、P=0.03)した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はレンビマ+キイトルーダ併用群82.4%に対してレンビマ+エベロリムス併用群83.1%に対してスニチニブ単剤群71.8%を示した。また、3群で少なくとも10%以上の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は高血圧、下痢、リパーゼ値上昇であった。
以上のCLEAR試験(307/KEYNOTE-581試験)の結果よりRobert J. Motzer氏らは「進行性腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのレンビマ+キイトルーダ併用療法は、スニチニブ単剤療法に比べて独立評価委員会(IRC)判定による無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善しました」と結論を述べている。