・切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん患者が対象の第3相試験
・オプジーボ+ヤーボイ/化学療法併用療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・PD-L1陽性患者における全生存期間はオプジーボ+ヤーボイ群13.7ヶ月、オプジーボ
化学療法群15.4ヶ月で、化学療法の9.1ヶ月に対していずれも延長を示した
2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて未治療の切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate648試験(NCT03143153)の結果がRoyal Marsden HospitalのIan Chau氏らにより公表された。
CheckMate648試験は、未治療の切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者を対象に、ファーストライン治療としてオプジーボ3mg/kgを2週1サイクル+ヤーボイ1mg/kgを6週1サイクルで投与する併用療法群(N=325人)、オプジーボ240mgを2週1サイクル+化学療法を投与する群(N=321人)、または化学療法を投与する群(N=324人)に無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値13ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である盲検独立中央判定(BICR)によるPD-L1陽性群における全生存期間(OS)中央値はオプジーボ+ヤーボイ群13.7ヶ月(95%信頼区間:11.2~17.0ヶ月)に対してオプジーボ+化学療法群15.4ヶ月(95%信頼区間:11.9~19.5ヶ月)に対して化学療法群9.1ヶ月(95%信頼区間:7.7~10.0ヶ月)を示し、化学療法に比べてオプジーボ+ヤーボイ群(P=0.001)もオプジーボ+化学療法群(P<0.0001)も統計学的有意に全生存期間(OS)を改善した。
もう1つの主要評価評価項目であるPD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)は化学療法群に比べてオプジーボ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%減少(HR:0.65、98.5%信頼区間:0.46~0.92、P=0.0023)した。一方、PD-L1陽性群における無増悪生存期間(PFS)は化学療法群に比べてオプジーボ+ヤーボイ群で統計学的有意な改善は示さなかった。
副次評価項目であるPD-L1陽性群における客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+ヤーボイ群35%に対してオプジーボ+化学療法群53%に対して化学療法群20%を示し、全患者群における客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+ヤーボイ群28%、オプジーボ+化学療法群47%、化学療法群27%を示した。
以上のCheckMate648試験の結果よりIan Chau氏らは「未治療の切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法、オプジーボ+化学療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善し、持続的な抗腫瘍効果を示しました。それぞれファーストライン治療の新たな選択肢となる可能性があります」と結論を述べている。