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早期非小細胞肺がんに対する術前化学療法としてオプジーボ+化学療法、根治的手術施行率83%を示す

この記事の3つのポイント
・早期非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
術前化学療法としてオプジーボ+化学療法の有効性安全性を化学療法と比較検証
・根治的手術施行率はオプジーボ+化学療法群83%であり、化学療法群は75%を示した

2021年6月4日~8日にオンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて早期非小細胞肺がん(NSCLC)対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate816試験(NCT02998528)における手術施行の結果がMcGill University Health CenterのJonathan Spicer氏らにより公表された。

CheckMate816試験は、切除可能な非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法として3週を1サイクルとしてオプジーボ360mg+プラチナ製剤を含む化学療法を最大3サイクル投与する群(N=179人)、3週を1サイクルとしてプラチナ製剤を含む化学療法を最大3サイクル投与する群(N=179人)に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効(pCR)、無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、Major Pathological Response(残存がん細胞の面積が、がん組織中に占める割合が10%以下と定義:MPR)、死亡または遠隔転移までの期間を比較検証した多施設共同無作為化非盲検の第3相試験である。

本試験における手術施行結果が検証された背景は、早期非小細胞肺がん(NSCLC)対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法は、主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)を統計学的有意に改善することが示されている。以上の背景より、術前化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法による手術施行への影響を検証する目的で本解析が公表された。

本試験の結果、根治的手術施行率はオプジーボ+化学療法群83%(N=149人)に対して化学療法群75%(N=135人)を示した。また、手術中止に至った理由は、病勢進行がオプジーボ+化学療法群で12人に対して化学療法群で17人、有害事象(AE)が両群で2人ずつ、その他の理由はそれぞれ14人と19人であった。また、R0切除率はオプジーボ+化学療法群83%に対して化学療法群78%を示した。

一方の安全性として、全グレードの手術関連有害事象(AE)発症率はオプジーボ+化学療法群41%に対して化学療法群47%、グレード3~4の手術関連有害事象(AE)発症率はオプジーボ+化学療法群11%に対して化学療法群15%をそれぞれ示した。

以上のCheckMate816試験の結果よりJonathan Spicer氏らは「早期非小細胞肺がん(NSCLC)対する術前化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法は、手術の施行を妨げたり、手術期間を遅延させるようなことはありませんでした。IB期~IIIA期の切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの術前化学療法としての可能性を指示するものになりました」と結論を述べている。

Surgical outcomes from the phase 3 CheckMate 816 trial: Nivolumab (NIVO) + platinum-doublet chemotherapy (chemo) vs chemo alone as neoadjuvant treatment for patients with resectable non-small cell lung cancer (NSCLC).(2021 ASCO Annual Meeting,Abstract No:8503)

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