・BRAF V600E遺伝子変異陽性の進行性大腸がん患者が対象の第2相試験
・ファーストライン治療としてのエンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率47.8%を示す
2021年6月30日~7月3日に開催された欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2021)にてBRAF V600E遺伝子変異陽性の進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのBRAF阻害薬であるエンコラフェニブ+MEK阻害薬であるビニメチニブ+抗EGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のANCHOR CRC試験の結果がUniversity Hospitals Leuven and KU Leuven in LeuvenのEric Van Cutsem氏らにより公表された。
ANCHOR CRC試験は、BRAF V600E遺伝子変異陽性の進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療として1日1回エンコラフェニブ300mg+1日2回ビニメチニブ45mg+1週に1回セツキシマブ250mg/m2(1サイクル目は400mg/m2、29週目以降は2週に1回セツキシマブ500mg/m2)併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値65歳。75歳以上は13%。ECOG Performanceはスコア1が55%。臓器転移2個以上が76%、腹膜転移が48%、同時転移55%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は47.8%(95%信頼区間:37.3~58.5%)を示した。また、サブグループ解析の結果、客観的奏効率(ORR)は患者背景により統計学的有意な差は確認されなかった。
副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)は88%、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.8ヶ月(95%信頼区間:4.6~6.4ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は17.2ヶ月(95%信頼区間:14.1ヶ月~未到達)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は69.5%の患者で確認され、5%以上の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は貧血10.5%、下痢9.5%、吐き気8.4%、腸閉塞6.3%、急性腎障害5.3%を示した。なお、本試験により新たに確認されたエンコラフェニブ、ビニメチニブ、セツキシマブの有害事象(AE)はなかった。
以上のANCHOR CRC試験の結果よりEric Van Cutsem氏らは「BRAF V600E遺伝子変異陽性の進行性大腸がん患者に対するファーストライン治療としてのBRAF阻害薬エンコラフェニブ+MEK阻害薬ビニメチニブ+抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブ併用療法は、患者背景に関係なく良好な抗腫瘍効果を示し、客観的奏効率(ORR)は試験前に計画した主要評価達成基準を満たしました」と結論を述べている。