・切除可能進行性直腸がん患者が対象の第2相試験
・カペシタビン+放射線療法+バベンチオ併用療法の有効性・安全性を検証
・病理学的完全奏効率は23%、病理学的奏効率は60%を示した
2021年6月30日~7月3日に開催された欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2021)にて切除可能進行性直腸がん患者に対する術前化学放射線療法としてのカペシタビン+放射線療法+抗PD-L1抗体薬であるバベンチオ(一般名:アベルマブ、以下バベンチオ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のAVANA試験の結果がthe Comprehensive Cancer CenterのLisa Salvatore氏らにより公表された。
本試験は、切除可能進行性直腸がん患者(N=101人)に対する術前化学放射線療法として1週を1サイクルとして1~5日目に1日2回カペシタビン825mg/m2+放射線療法50.4Gy+2週を1サイクルとしてバベンチオ10mg/kg併用療法を投与し、化学療法実施8~10週後の全直腸間膜切除(TME)を実施し、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)、副次評価項目としてR0切除率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験の患者の年齢中央値は63歳(23~82歳)。61.4%が男性。ECOG Performance Statusはスコア0が92%(N=93人)。TNM分類ステータスはcN+が93%(N=94人)、cT4が16%(N=16人)を示している。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)は23%(N=23人)、Major Pathological Response(MPR、病理学的奏効)は60%(N=60人)を示した。
また、試験に参加した62人のうち、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を示した患者は2人おり、1人は病理学的完全奏効(pCR)、1人はMajor Pathological Response(MPR)を示した。一方、マイクロサテライト安定性(MSS)を示した患者は60人おり、8%(N=5人)は病理学的完全奏効(pCR)、69%(N=41人)はMajor Pathological Response(MPR)を示し、23%(N=14人)は奏効を示さなかった。
グレード3~4の有害事象(AE)発症率は8%、グレード3~4の免疫関連有害事象(irAE)発症率は4%をそれぞれ示した。なお、9人の患者有害事象(AE)により治療中止に至っている。
以上のAVANA試験の結果よりLisa Salvatore氏らは「切除可能進行性直腸がん患者に対する術前化学放射線療法としてのカペシタビン+放射線療法への抗PD-L1抗体薬バベンチオの上乗せ効果は、臨床的に期待のできる抗腫瘍効果を示し、フィジビリティも良好でした。より長期の追跡調査による無病生存率と全生存率の結果が待たれます」と結論を述べている。