・化学放射線療法後のステージIII切除不能非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・スゲマリマブ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・無増悪生存期間中央値はスゲマリマブ単剤療法群9.0ヶ月に対してプラセボ単剤療法群5.8ヶ月と統計学的有意に延長した
2022年1月14日、医学誌『The Lancet Oncology』にて化学放射線療法後のステージIII切除不能非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1モノクローナル抗体であるスゲマリマブの有効性、安全性を比較検証した第3相のGEMSTONE-301試験(NCT03728556)の結果がGuangdong Provincial People’s HospitalのQing Zhou氏らにより公表された。
GEMSTONE-301試験は、化学放射線療法後のステージIII切除不能非小細胞肺がん患者(N=381人)に対して3週を1サイクルとしてスゲマリマブ1200mg単剤療法を実施する群(N=255人)、もしくはプラセボ単剤療法を実施する群(N=126人)に2対1の割合で無作為に振り分け、最大24か月間投与した。主要評価項目として盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、その他評価項目として安全性等を比較検証したランダム化二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値(スゲマリマブ単剤療法群14.3ヶ月、プラセボ単剤療法群13.7ヶ月時点)における結果は下記の通りである。主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)中央値は、スゲマリマブ単剤療法群の9.0ヶ月(95%信頼区間:8.1-14.1ヶ月)に対してプラセボ単剤療法群で5.8ヶ月(95%信頼区間:4.2-6.6ヶ月)と、スゲマリマブ単剤療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを36%(HR:0.64、95%信頼区間:0.48-0.85、P=0.0026)統計学的有意に改善した。
一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、スゲマリマブ単剤療法群の9%(N=22/255人)に対してプラセボ単剤療法群で6%(N=7/126人)を示し、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は、肺炎もしくは免疫関連肺炎がスゲマリマブ単剤療法群の3%(N=7人)に対してプラセボ単剤療法群で1%未満(N=1人)だった。
治療関連の重篤な有害事象(SAE)発症率は、スゲマリマブ単剤療法群の15%(N=38人)に対してプラセボ単剤療法群で10%(N=12人)。治療関連の死亡率は、スゲマリマブ単剤療法群の4人に対してプラセボ単剤療法群で1人であった。
以上のGEMSTONE-301試験の結果よりQing Zhou氏らは「化学放射線療法後のステージIII切除不能非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1モノクローナル抗体スゲマリマブ単剤療法は無増悪生存期間(PFS)を改善し、本疾患の有望な治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。