・筋層浸潤膀胱がん患者が対象の第2相試験
・術前化学療法であるゲムシタビン+シスプラチンにテセントリクを追加した際の有効性・安全性を検証
・ダウンステージング達成率(T2N0未満)は69%であり、このうち41%でT0N0を示し再発は認めなかった
2022年1月28日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて筋層浸潤膀胱がん(MIBC;cT2-T4aN0M0)患者に対する根治的膀胱摘除術(RC)の術前化学療法としてのゲムシタビン+シスプラチンへの抗PD-L1抗体薬テセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)追加療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02989584)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのSamuel A. Funt氏らにより公表された。
本試験は、筋層浸潤膀胱がん(MIBC;cT2-T4aN0M0)患者(N=44人)に対する術前化学療法として21日を1サイクルとしてゲムシタビン+シスプラチン併用療法後、テセントリク単剤療法を追加し、根治的膀胱摘除術(RC)を実施し、主要評価項目としてダウンステージング達成(pT2N0未満)を検証した第2相試験である。
本試験に登録された44人のうち、評価可能であった39人の患者の結果は下記の通りである。主要評価項目であるダウンステージング達成率(T2N0未満)69%であり、このうち41%(N=16人)はpT0N0を示し、主要評価項目を達成し、再発は認めなかった。なお、根治的膀胱摘除術(RC)を拒絶した患者は1人、根治的膀胱摘除術(RC)前に病勢進行した患者は2人であった。
一方の安全性として、グレード3~4の有害事象(AE)発症率は、好中球減少症が36%(N=16人)であった。グレード3の免疫関連有害事象(irAE)発症率は11%(N=5人)であり、2人の患者で全身ステロイド療法による対処が必要であった。最後の化学療法投与から手術までの期間中央値は7.8週間(5.1~17週)で、有害事象(AE)による根治的膀胱摘除術(RC)の中止は確認されなかった。
以上の第2相試験の結果よりSamuel A. Funt氏らは「筋層浸潤膀胱がん(MIBC)患者に対する術前化学療法としての標準治療ゲムシタビン+シスプラチン+根治的膀胱摘除術(RC)への抗PD-L1抗体薬テセントリク追加療法は、本疾患の有望な治療選択肢になり得るため、さらなる研究が必要である。pT2N0未満の患者においては無増悪生存率が改善した」と結論を述べている。