・切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん患者が対象の第3相試験
・オプジーボ+ヤーボイ、オプジーボ+化学療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・PD-L1陽性患者における全生存期間は、オプジーボ+ヤーボイ群13.7ヶ月、オプジーボ+化学療法群15.4ヶ月であり、
いずれも化学療法(9.1ヶ月)に対して延長した
2022年2月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者を対象にファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate 648試験(NCT03143153)の結果が大阪大学医学部の土岐祐一郎氏らにより公表された。
CheckMate 648試験は、未治療の切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者(N=970人)に対するファーストライン治療としてオプジーボ3mg/kg(1サイクル2週)+ヤーボイ1mg/kg(1サイクル6週)の併用療法を実施する群、オプジーボ240mg(1サイクル2週)+化学療法を実施する群、または化学療法を実施する群に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第3相試験である。
フォローアップ期間中央値13ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるPD-L1陽性群(PD-L1発現率1%以上)における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+化学療法群の15.4ヶ月に対して化学療法群で9.1ヶ月と、オプジーボ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを46%(HR:0.54、99.5%信頼区間:0.37-0.80、P<0.001)統計学的有意に改善した。全患者群における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+化学療法群の13.2ヶ月に対して化学療法群で10.7ヶ月を示し、オプジーボ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを26%減少(HR:0.74、99.1%信頼区間:0.58-0.96、P=0.002)した。
同じくPD-L1陽性群(PD-L1発現率1%以上)における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+ヤーボイ群の13.7ヶ月に対して化学療法群で9.1ヶ月を示し、オプジーボ+ヤーボイ群で死亡(OS)のリスクを36%減少(HR:0.64、98.6%信頼区間:0.46-0.90、P=0.001)改善した。全患者群における全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+ヤーボイ群の12.7ヶ月に対して化学療法群で10.7ヶ月を示し、オプジーボ+ヤーボイ群で死亡(OS)のリスクを22%減少(HR:0.78、98.2%信頼区間:0.62-0.98、P=0.01)した。
もう1つの主要評価項目であるPD-L1陽性群(PD-L1発現率1%以上)における無増悪生存期間(PFS)は、化学療法に比べてオプジーボ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%(HR:0.65、98.5%信頼区間:0.46-0.92、P=0.002)統計学的有意に改善した。一方で、オプジーボ+ヤーボイ群では、化学療法に比べて統計学的有意な差は確認されなかった。
安全性に関しては、グレード3もしくは4以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+化学療法群で47%、オプジーボ+ヤーボイ群で32%、化学療法群で36%を示した。
以上のCheckMate 648試験の結果より土岐祐一郎氏らは「未治療の切除不能進行性/再発転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+化学療法、抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、化学療法単独に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。また、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなく、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しておりました」と結論を述べている。