・転移性大腸がん患者が対象の第2相試験
・ファーストライン治療としてのオプジーボ+mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法の有効性・安全性を標準治療と比較検証
・無増悪生存期間は標準治療群に対して統計学的に有意な改善を示さなかったものの、良好で持続的な抗腫瘍効果を確認
2022年1月20日~22日、米国・サンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム(ASCO-GI 2022)にて転移性大腸がん患者を対象にファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法の有効性、安全性を標準治療と比較検証した第2相のCheckMate 9X8試験(NCT03414983)の結果がKeck School of Medicine of USCのHeinz-Josef Lenz氏らにより公表された。
CheckMate 9X8試験は、転移性大腸がん患者(N=195人)に対するファーストライン治療として2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法を実施する群(N=127人)、もしくは2週を1サイクルとしてmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法を実施する群(N=68人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性などを検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療の標準治療は、フルオロウラシルを併用したFOLFOX、FOLFIRI療法である。この標準治療と抗PD-1抗体薬オプジーボを併用することで相乗的な抗腫瘍効果が得られる可能性がある。以上の背景より、転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値(オプジーボ+標準治療群23.7ヶ月、標準治療群23.2ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、オプジーボ+標準治療群の11.9ヶ月(95%信頼区間:8.9-15.7ヶ月)に対して標準治療群で11.9ヶ月(95%信頼区間:10.1-12.2ヶ月)と、オプジーボ+標準治療群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを19%減少(HR:0.81、95%信頼区間:0.53-1.23、P=0.30)したものの、統計学的有意な差は確認されなかった。
重要な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、オプジーボ+標準治療群の60%(N=76人)に対して標準治療群で46%(N=31人)、病勢コントロール率(DCR)はオプジーボ+標準治療群の91%(N=115人)に対して標準治療群で84%(N=57人)を示した。
奏効持続期間(DOR)中央値は、オプジーボ+標準治療群の12.9ヶ月(95%信頼区間:9.0-13.1ヶ月)に対して標準治療群で9.3ヶ月(95%信頼区間:7.5-11.3ヶ月)を示した。全生存期間(OS)中央値は、オプジーボ+標準治療群の29.2ヶ月(95%信頼区間:24.0ヶ月-未到達)に対して標準治療群で未到達(95%信頼区間:24.4ヶ月-未到達)だった。
一方、安全性として、全グレードの有害事象(AE)は、オプジーボ+標準治療群の98%(N=120人)に対して標準治療群で97%(N=60人)を示した。また、グレード3~4の有害事象(AE)は、オプジーボ+標準治療群の57%(N=70人)に対して標準治療群で35%(N=22人)を示した。
以上のCheckMate 9X8試験の結果より、Heinz-Josef Lenz氏らは「転移性大腸がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法は、mFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法に比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善はしませんでした。一方、良好で持続的な抗腫瘍効果は確認され、安全性も許容範囲内でした」と結論を述べている。