・進展型小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・テセントリク+Tiragolumab(チラゴルマブ)+化学療法の有効性・安全性をテセントリク+化学療法と比較検証
・無増悪生存期間はテセントリク+Tiragolumab+化学療法群とテセントリク+化学療法で統計学的有意な差は確認されず、全生存期間は初回解析時点でのデータは未成熟であった
3月30日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュのプレスリリースにて進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+抗TIGIT抗体薬であるTiragolumab(チラゴルマブ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSKYSCRAPER-02試験の結果が公表された。
SKYSCRAPER-02試験は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者(N=490人)に対するファーストライン治療としてのテセントリク+Tiragolumab+化学療法を実施する群、テセントリク+化学療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として脳転移のない患者群における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として全患者群における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を比較検証したランダム化二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、肺がんの中でも小細胞肺がん(SCLC)の腫瘍進行スピードは速く、予後不良である。抗PD-L1抗体薬テセントリクは進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対して全生存期間(OS)の改善効果を示した初の免疫チェックポイント阻害薬であり、ここ20年で初めて承認された治療薬である。以上の背景より、更なる治療選択肢の開発が必要とされる進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+抗TIGIT抗体薬Tiragolumab+化学療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である脳転移のない患者群における無増悪生存期間(PFS)はテセントリク+化学療法に比べてテセントリク+Tiragolumab+化学療法群で統計学的有意な差は確認されなかった。もう1つの主要評価項目である脳転移のない患者群における全生存期間(OS)は初回解析時点でのデータは未成熟であった。一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、Tiragolumabを追加投与したことで新たな有害事象(AE)の発現は確認されなかった。
以上のSKYSCRAPER-02試験の結果より、エフ・ホフマン・ラ・ロシュのChief Medical Officer and Head of Global Product DevelopmentであるLevi Garraway氏は「本日公表された本試験の結果は非常に残念です。引き続き、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する抗PD-L1抗体薬テセントリクの可能性を探索していきます。この場をお借りして、治験に協力頂きました患者さん、医療関係者の方々にはお礼申し上げます」と結論を述べている。