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ステージIII切除不能非小細胞肺がんに対するイミフィンジ+Oleclumab/Monalizumab併用療法、客観的奏効率で高率を示す

この記事の3つのポイント
ステージIII切除不能非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・イミフィンジ+Oleclumab/Monalizumabの有効性安全性を比較検証
・客観的奏効率はイミフィンジ単剤群で17.9%、Oleclumab併用療法群で30.0%、
 Monalizumabb併用療法群で35.5%と高率であり、無増悪生存期間においても改善を示した

4月22日、医学誌「Journal of Clinical Oncology」にてステージIII切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)単剤療法、もしくはイミフィンジ+抗CD73モノクローナル抗体であるOleclumab(オレクルマブ)または抗NKG2Aモノクローナル抗体であるMonalizumab(モナリズマブ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のCOAST試験の結果がYale Cancer CenterのRoy S. Herbst氏らにより公表された。

COAST試験は、ステージIII切除不能非小細胞肺がん患者(N=189人)に対してイミフィンジ単剤療法を実施する群、イミフィンジ+Oleclumab併用療法を実施する群、もしくはイミフィンジ+Monalizumab併用療法を実施する群に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、その他評価項目として無増悪生存期間(PFS)、安全性等を検証した国際多施設共同オープンラベルランダム化の第2相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値11.5ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はイミフィンジ単剤療法群で17.9%(95%信頼区間:9.6-29.2%)、イミフィンジ+Oleclumab併用群で30.0%(95%信頼区間:18.8-43.2%)、イミフィンジ+Monalizumab併用群で35.5%(95%信頼区間:23.7-48.7%)を示し、イミフィンジ単剤群に比べて併用群で客観的奏効率(ORR)は高率であった。

無増悪生存期間(PFS)は、イミフィンジ単剤群に比べてイミフィンジ+Oleclumab併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを56%減少(HR:0.44、95%信頼区間:0.26-0.75)し、イミフィンジ+Monalizumab併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを58%減少(HR:0.42、95%信頼区間:0.24-0.72)した。

また、12ヶ月無増悪生存率(PFS)は、イミフィンジ単剤療法群で33.9%(95%信頼区間:21.2-47.1%)、イミフィンジ+Oleclumab併用群で62.6%(95%信頼区間:48.1-74.2%)、イミフィンジ+Monalizumab併用群で72.7%(95%信頼区間:58.8-82.6%)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイミフィンジ単剤療法群で39.4%、イミフィンジ+Oleclumab併用群で40.7%、イミフィンジ+Monalizumab併用群で27.9%をそれぞれ示した。

以上のCOAST試験の結果よりRoy S. Herbst氏らは「ステージIII切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+抗CD73モノクローナル抗体Oleclumabまたは抗NKG2Aモノクローナル抗体であるMonalizumab併用療法は、イミフィンジ単剤療法に比べて客観的奏効率(ORR)を増加し、無増悪生存期間(PFS)も改善しました。また、本試験で新たに確認された有害事象(AE)もありませんでした」と結論を述べている。

COAST: An Open-Label, Phase II, Multidrug Platform Study of Durvalumab Alone or in Combination With Oleclumab or Monalizumab in Patients With Unresectable, Stage III Non-Small-Cell Lung Cancer(J Clin Oncol. 2022 Apr 22;JCO2200227. doi: 10.1200/JCO.22.00227.)

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