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BRAF阻害剤ビラフトビ・MEK阻害剤メクトビ、BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんへの適応追加を申請

2020年3月4日、小野薬品工業株式会社(以下、小野薬品)は、BRAF阻害剤であるエンコラフェニブカプセル50mg(商品名:ビラフトビ 以下、ビラフトビ)およびMEK阻害剤であるビニメチニブ錠15mg(商品名:メクトビ 以下、メクトビ)について、抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブとの3剤併用療法における「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことを発表した。

目次

進行・再発の結腸がん、直腸がんへの3剤併用有効性

今回の申請は、1次治療又は2次治療後に進行したBRAFV600E変異を有する治癒切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がんの患者を対象に実施された国際共同無作為化非盲検第3相試験(BEACON CRC試験*)の結果に基づいている。

同試験の結果、主要評価項目の1つである全生存期間OS)の中央値は、ビラフトビ、メクトビとセツキシマブの3剤併用療法(3剤群)で9.0ケ月、対照化学療法(イリノテカンとセツキシマブを含む併用療法)(対照群)で5.4ケ月であり、3剤群は、対照群と比較して、統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.52;95%信頼区間:0.39 – 0.70;p<0.0001)。

また、もう1つの主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)に基づく奏効率ORR)では、3剤群で26.1%、対照群で1.9%であり、3剤群は、対照群と比較して、統計学的に有意な改善を示した(p<0.0001)。

なお、3剤群においての予期せぬ毒性は認められなかった。

* BEACON CRC試験について
BEACON CRC試験は、1次治療又は2次治療後に進行したBRAFV600変異を有する治癒切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がん患者を対象にビラフトビ、メクトビとセツキシマブの3剤併用療法の有効性および安全性を評価した国際共同無作為化非盲検第3相試験。

同試験の無作為化パートでは、患者665例が、ビラフトビ、メクトビとセツキシマブの3剤併用療法、ビラフトビとセツキシマブの2剤併用療法、またはイリノテカンとセツキシマブを含む対照併用療法を受けるよう1:1:1に無作為に割り付けられた。

ビラフトビは300mgを1日1回投与、メクトビは1回45mgを1日2回投与、セツキシマブは初回のみ400mg/m2、その後250mg/m2を週1回投与された。

患者には、疾患の進行、許容できない毒性などが確認されるまで投与が継続された。

主要評価項目は、対照併用療法と比較した3剤併用療法の全生存期間(OS)および盲検下独立中央判定(BICR)に基づく奏効率(ORR)である。

副次評価項目には、無増悪生存期間PFS)、奏効期間DOR)および安全性などが含まれている。

ビラフトビおよびメクトビについて

ビラフトビは低分子BRAF阻害剤であり、メクトビは低分子MEK阻害剤。

BRAFおよびMEKは、MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)における重要なプロテインキナーゼであり、この経路が、増殖、分化、生存および血管新生を含むいくつかの重要な細胞活性を調節することが示されている。

この経路におけるタンパク質の不適切な活性化は、悪性黒色腫および結腸・直腸がんを含む多くのがんにおいて生じることが報告されている。

ビラフトビおよびメクトビは、どちらもこの経路の重要な酵素を標的としている。

日本では、小野薬品が2019年1月に両製剤の併用療法による「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に対する効能又は効果で両剤の国内製造販売承認を取得し、同年2月より販売を開始した。

現在、両製剤の併用療法によるBRAFV600遺伝子変異を有する悪性黒色腫を対象とした第3相試験(COLUMBUS試験)、両製剤およびセツキシマブの3剤併用療法による治療歴のないBRAFV600E遺伝子変異を有する結腸・直腸がんを対象とした第2相試験(ANCHOR CRC試験)などの臨床試験が実施されている。

海外においては、Array BioPharma Inc.(現・Pfizer社の子会社)およびそのパートナーが、各々、2018年に米国およびEUで「切除不能または転移性のBRAFV600変異を有する悪性黒色腫」に関する適応症で承認を取得し、販売している。

また「治療歴を有するBRAFV600E変異を有する転移性結腸・直腸がん」に関する適応症についても、2019年に米国およびEUで承認申請されている。

参照元:
小野薬品工業株式会社ニュースリリース

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