・Child-Pugh分類Aの切除不能な肝細胞がん患者が対象の第3相試験
・1stライン治療としてのテセントリク+アバスチン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・テセントリク+アバスチン併用群の全生存期間は19.2ヶ月であり、ソラフェニブ単剤群に対して死亡リスクを34%減少した
2021年1月21日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュのプレスリリースにて全身療法歴のないChild-Pugh分類Aの切除不能な肝細胞がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+アバスチン(一般名:ベバシズマブ、以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性をソラフェニブと比較することを目的とした第3相のIMbrave150試験(NCT03434379)のアップデート解析の結果が公表された。
IMbrave150試験とは、全身療法歴のないChild-Pugh分類Aの切除不能な肝細胞がん患者(N=501人)に対して21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg+1日目にアバスチン15mg/kg併用療法を投与する群、または21日を1サイクルとして1~21日目にソラフェニブ400mg単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した多施設共同ランダム化非盲検の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値15.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はテセントリク+アバスチン併用群の19.2ヶ月(95%信頼区間:17.0–23.7ヶ月)に対してソラフェニブ単剤群で13.4ヶ月(95%信頼区間:11.4–16.9ヶ月)と、テセントリク+アバスチン併用群で死亡(OS)のリスクを34%(HR:0.66、95%信頼区間:0.52-0.85)減少した。
もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+アバスチン併用群の6.9ヶ月(95%信頼区間:5.7–8.6ヶ月)に対してソラフェニブ単剤群で4.3ヶ月(95%信頼区間:4.0–5.6ヶ月)、テセントリク+アバスチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%(HR:0.65、95%信頼区間:0.53–0.81)減少した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はテセントリク+アバスチン併用群の30%(95%信頼区間:25–35%)に対してソラフェニブ単剤群で11%(95%信頼区間:7–17%)を示した。また、奏効の内訳は、完全奏効率(CR)はテセントリク+アバスチン併用群の8%に対してソラフェニブ単剤群で1%未満、部分奏効率(PR)はテセントリク+アバスチン併用群の22%に対してソラフェニブ単剤群で11%、病勢安定率(SD)はテセントリク+アバスチン併用群の44%に対してソラフェニブ単剤群で43%を示した。
奏効持続期間(DOR)中央値はテセントリク+アバスチン併用群の24.0ヶ月(95%信頼区間:17.1ヶ月-未到達)に対してソラフェニブ単剤群で11.4ヶ月(95%信頼区間:6.7–16.1ヶ月)を示した。
以上のIMbrave150試験のアップデート解析の結果より、Chief Medical Officer and Head of Global Product DevelopmentのLevi Garraway氏は「切除不能な肝細胞がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬テセントリク+アバスチン併用療法は、既存の治療薬よりも優れた長期的な改善効果を示しました」と結論を述べている。