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PD-L1高率の進行性扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としてのテセントリク、全生存期間を統計学的有意に改善する

この記事の3つのポイント
PD-L1高率の進行性扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象とした第3相試験
ファーストライン治療としてのテセントリク単剤療法有効性安全性を検証
化学療法と比較して、全生存期間を統計学的有意に改善

2019年9月27日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社は進行性の非扁平上皮/扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)単剤による一次治療の有効性、安全性を比較検証した第3相のIMvigor110試験(NCT02409342)で良好な試験結果が得られたと公表した。

IMpower110試験とは、ALK融合遺伝子/EGFR遺伝子変異のない進行性扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者(N=572人)に対してテセントリク単剤療法を投与する群、または化学療法(シスプラチンもしくはカルボプラチン+ペメトレキセドもしくはゲムシタビン)を投与する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現率別の全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、安全性などを比較検証した第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるPD-L1発現高レベルの患者群における全生存期間(OS)中央値はテセントリク単剤群20.2ヶ月に対して化学療法群13.1ヶ月、テセントリク単剤群で死亡(OS)のリスクを40.5%統計学的有意に改善した(HR=0.595,95%信頼区間:0.398–0.890,P=0.0106)。

また、PD-L1発現中等度レベルの患者群における全生存期間(OS)中央値はテセントリク単剤群18.2ヶ月に対して化学療法群14.9ヶ月、テセントリク単剤群で死亡(OS)のリスクを28.3%改善(HR=0.717,95%信頼区間:0.520–0.989,P=0.0416)するも統計学的有意な差は確認されなかった。なお、PD-L1発現低レベルの患者群における全生存期間(OS)の解析は継続中である。

一方の安全性として、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)発症率はテセントリク単剤群60.5%に対して化学療法群85.2%、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はテセントリク単剤群12.9%に対して化学療法群44.1%を示した。

以上のIMpower110試験の結果より、Roche’s Chief Medical Officer and Head of Global Product DevelopmentのSandra Horning氏らは以下のようにコメントを述べている。”進行性扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬テセントリクは、PD-L1発現高レベルの患者群において全生存期間(OS)を改善しました。”

参照元:ロシュ社プレスリリース

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